前向きに読み解く経済の裏側

2019年6月17日

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 今回は、久留米大学商学部教授の塚崎公義が、国債が暴落して財政が破綻する瞬間に大逆転が起きるから財政は破綻しない、と説きます。

(Tennessee Witney/gettyimages)

 あるとき、「日本政府が破産する」という噂が広まり、投資家たちが一斉に日本国債を売却し、日本国債が暴落したとします。政府は破産するでしょうか。何が起きるのか、シミュレーションしてみましょう。

 ちなみに、最後は政府が日銀から借りれば良いのですが、それではハイパーインフレになってしまうので、本稿ではそれは禁じ手だということにしておきましょう。

国債が暴落し、値がつかない

 あるとき、日本国債が投機的格付けに引き下げられた。投資家の中には投機的格付けの債券を保有できない所も多いから、巨額の売りが出た。それを見た一般投資家も、「日本国債が暴落するから、急いで売ろう」「日本政府が破産しそうだから、国債が紙屑になる前に急いで売ろう」と殺到した。

 不幸中の幸いだったのは、それだけで政府が破産することはなかった、ということだ。損をしたのは国債を持っていた投資家であり、政府ではなかったからである。政府は手元の現金を用いて満期になった国債を償還、新たな財政支出を行えば良かったのである。

 もっとも、新しく国債を発行しても誰も買ってくれないので、手元資金が尽きた時に政府が破綻することは誰の目にも明らかなように見えた。それを見て、一層国債の売りが膨らみ、買い注文が消えたため、売買が成立せず、気配値だけが切り下がって行った。

 国債を持っている投資家はもちろん、持っていない投機家たちも、国債を「空売り」した。国債の先物を売った投機家も多かった。

政府破産の噂で、円も暴落した

 日本政府が破産するという噂を聞いた投資家が、今ひとつ売ったのは、日本政府の子会社が発行している「日本銀行券」であった。実物資産に換えようという動きも出たが、素早く大量に売るにはドルに替えるのが一番だったので、ドルの買い注文が殺到した。

 当然に猛烈なドル高円安となった。円を買う人が少なかったので、取引量は僅かであり、ドルの気配値だけが切り上がっていくといった状況であった。

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