前向きに読み解く経済の裏側

2019年5月20日

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 日本政府の赤字と日本国の黒字を混同すべきでない、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

(Patrick Wong/gettyimages)

経常収支は大幅な黒字

 昨年度の国際収支統計が発表され、経常収支が大幅な黒字であったことが確認されました。経常収支というのは、日本国全体としての海外との取引を家計簿のように記録したものです(初心者向けの解説は文末)。

 我々はマスコミ等で「国は赤字で、国の借金は巨額にのぼる」という話を頻繁に聞かされているので、混乱するかもしれませんが、この「国の赤字」というのは「地方公共団体ではなく中央政府の財政収支は赤字だ」という意味ですので、「日本国」が赤字であるわけではありません。

 日本政府は赤字ですが、日本の民間部門(厳密には地方公共団体等を含めた、中央政府以外の日本ですが)が大幅な黒字なので、日本国としては黒字だ、というわけです。

 夫が収入以上に浪費している一方で、妻は勤勉かつ倹約家なので巨額の蓄えを持っているため、妻は夫に金を貸し、余った分は銀行に貯金している、という夫婦をイメージすれば良いでしょう。

 夫個人の家計簿は赤字ですが、夫婦としての家計簿は黒字で、貯金もありますから、夫が取り立て屋に追い回されることはなさそうです。夫婦喧嘩が絶えない可能性はありますが(笑)。

国の赤字は民間部門の黒字に

 国が銀行から借金をして公共投資を行うとします。工事代金を受け取った建設会社がそれを銀行に預金したとすれば、一連の取引は終わりです。国の家計簿が赤字になっていて、民間部門全体としての家計簿が同じ額だけ黒字になっています。

 最初と最後を比べれば、国の借金が増えていて、民間部門の資産が増えています。家計簿が赤字なら資産が減るか借金が増えるし、家計簿が黒字なら資産が増えるか借金が減る、というわけですね。

 現段階では、海外との取引は行われていませんから、日本国全体としての家計簿である経常収支はゼロのままです。

 建設会社が預金を引き出して社員に給料を払ったとしても、民間部門内の取引ですから、民間部門全体としての家計簿にも資産額にも変化は起きません。

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