前向きに読み解く経済の裏側

2019年5月20日

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経常収支は国の家計簿(初心者向け解説)

 経常収支という統計は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計です。これは、国家の家計簿と言えるものです。

 貿易収支は財の輸出から輸入を引いたものです。サービス収支は、サービスの輸出から輸入を引いたものです。たとえば日本人が海外旅行へ行って外国人シェフの作った料理を食べて料金を支払えば、サービスの輸入になります。

 貿易収支とサービス収支の合計は、貿易・サービス収支と呼ばれます。どちらも日本人が働いて外国人が楽しんで、対価を日本人が受け取るのが輸出、外国人が働いて日本人が楽しんで対価を外国人に支払うのが輸入です。

 財・サービスの輸出は、サラリーマンの給料と似ています。他人のために働いて対価を受け取るわけですから。家計の消費は、財・サービスの輸入と似ています。他人が働いた成果物を使わせてもらって対価を払うわけですから。

 第一次所得収支は、日本人が海外から受け取った利子や配当です。海外に支払った利子や配当は差し引きます。これは、家計が持っている銀行預金の利子から住宅ローンの金利を差し引いたものと考えて良いでしょう。

 第二次所得収支は、政府による途上国への援助です。これは、家計による赤い羽根への募金等と似ているでしょう。

 家計簿が黒字なら、預金が増えますし、赤字なら減ります。黒字でも預金が増えずに借金が減る場合もありますから、預金から借金を差し引いた「純資産残高」が増える、という方が正確ですね。

 重要なことは、家計簿の黒字も経常収支の黒字も、企業の儲けとは違う、ということです。多く働いて大量の物を作り、それを少ししか使わずに他人に使わせてあげた「我慢の対価」が経常収支の黒字なのです。

 まして、賭けマージャンの勝ちとは全く違います。賭けマージャンで勝てば、働いた以上に贅沢な暮らしができます。これは、働いて質素に暮らした結果の経常収支黒字とは、似ても似つかないでしょう。したがって、黒字だから他国に文句を言われるというのは変な話なのです。

 自国の貿易赤字を問題視している某国の大統領あたりが「日本は我が国から不当に儲けている」などと難癖をつけてくるかも知れませんが、それは誤りだということを、しっかりと理解しておきましょう。

  
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