実際、開発したジンはナシのようなというより、ナシよりも強いフルーティーな香りを出している。「この香りをナシで出そうとしたら、莫大な量が必要となる」と篠原氏は指摘する。今回、タイワンタガメ150匹で、500ミリリットルの瓶84本を作成。1本あたり2匹ほどしか使っていない計算だ。
ジンはイベントで提供、飲食店開業への準備も
タガメのジンはインターネットなどでの一般販売ではなく、イベントで提供される。都内で開かれたものでは、その〝未知なる味〟を求めて行列もできる。
ANTCICADAは、昆虫食を中心に提供する飲食店開店へ準備も進めている。篠原氏は2015年にラーメン凪と共同で「コオロギラーメン」を開発。2種類のコオロギから出汁を取り、大豆を用いずコオロギから作り上げた自家製の「コオロギ醤油」と合わせたスープに、コオロギを練り込んだ麺で作る。エビやカニに似た香ばしい風味が食欲をそそる一品だ。赤坂サカスのイベントにて2日間で600食、全国各地の食フェスや慶應義塾大学の学食でも即完売の人気を見せた。外国からも注目を集め、
開業予定の飲食店「ANTCICADA」では、昼間にコオロギラーメンを提供。夜に旬の虫を使ったコース料理が出る予定だ。ドリンクとして、タガメのジンも出す。タガメのジンや、新たな昆虫料理の数々が「珍しいもの」としてだけでなく、「美味しいもの」として人気を博すのか、行く末が気になる。
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