オトナの教養 週末の一冊

2019年8月23日

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拡大し続ける資本主義の終焉

 政治だけでなく資本主義も行き詰まっていきます。根本的に拡大しないとうまくいかない仕組みですから。リーマンショックとかサブプライム・ローン問題を見ていると、未来が偽装されているわけですね。資本主義は経済成長を続けないと成り立たない。民主主義、資本主義、国民国家はセットになっています。あらゆる分野で行き詰まりが見えてきたのが現代です。

 アリペイが信用スコア「芝麻信用(セサミクレジット)」を計算するとか、ゲノム編集で製薬会社が莫大な利益を得るとか。特定の人たちだけが莫大な利益を得るのではなく、AIはもっとみんなのものだと思います。そういう構想力がないことが問題です。若い人たちを見ていると、いまあるものを使いこなすことには長けていますが、自分たちで新しい世界をつくろうというパワーはあまり感じられません。

自分で自分をデザインすること

 いまの日本を見てみると、オリンピックとか万博とか過去の成功体験モデルしか追っていません。自分の人生に対しても、アンチエイジング、延命、永遠の生命とか先延ばしで、自分の死とどう向かい合えばいいのかも定まらない。自分の人生をデザインしなければならないんです。AIや色々なテクノロジーがあればそれも利用したい。仮に80歳で終わりを迎えるときに、これで人生良かったなと納得したいわけです。

いまの夢は賞味期限切れ

 人間が生きていく上では物語が必要ですね。いまの小説は人類滅亡とかそんなテーマで夢がありません。イエスの物語は2000年も、世界の人々に愛されてきましたが、それも、もうそろそろ賞味期限切れで、人々は新たな物語を欲していると思います。

 我々自身が納得できる夢を作らないとダメですね。AIはあるものから何かを抽出したり、マッチングさせたりするのは得意ですが。何か新しいモノを創出させることはできないんですね。アメリカのIT企業の子供たちは幼い頃にはスマホを触らせないという教育をしているといいます。感受性の時代がやって来ることがわかっているのだと思います。

VRの世界で幸せを追求

 テクノロジーに頼っていくと70億人全員が幸福を感じるには、脳内の世界で幸せになってもらうしかないという結論に達します。今でも眠れない時は睡眠薬、血圧が高ければ降圧剤を飲むとか、何らかの薬漬けになっていますよね。娯楽の多くの部分もバーチャルになっています。我々の世界はかなり映画「MATRIX」に近づきつつあります。

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