2022年11月27日(日)

Wedge REPORT

2019年11月1日

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ハードとハートの問題

小麦の収穫と排出を同時にすることで作業の効率化を目指す実証のようす(農研機構北海道農業研究センター 大規模畑作研究領域 大規模畑輪作研究グループ提供)

――収益の分配などはICT技術によって可能になっているのでしょうか。圃場の中の収量のばらつきをマップ化するコンバインがありますよね。

今田 技術は未完成です。今ある収量センサーは、ある程度の収量の把握はできますが、収益分配をするとなると、よりシビアなものが必要になります。研究機関と共同で開発しているところです。

 また、収穫機がどこまで能力を上げられるのかも実証しきれていません。機械にはこのくらいの面積が収穫可能というのがありますが、トランスボーダーをやるからには、それを超えて収穫したい。

 農業の未来について一般的に言われている予測は甘いと感じます。町内では農家が毎年5%くらい減っています。20年後には1戸の面積の平均が100ヘクタールを突破する可能性があって、大きい農家は200ヘクタール、300ヘクタールを持っていることになるんです。そうなると、労働力で賄うのが不可能。この先というのは、生易しいことでは済まないと思っています。

 ほかの産地から、耕作放棄地が増えると聞くことがあります。ただ、私たちからすると、耕作しない畑を作るくらいなら、区画を大きくして機械を入れればいいと思うんです。どうしても条件の不利なところもあるでしょうけれど、ある程度は区画を拡大することで、機械を導入して省力化して耕作できるまでにすることは可能ではないでしょうか。

 管内では高収益の作物としてキャベツを作っています。ただ、収穫が手作業だったために120ヘクタールまで拡大した後、15ヘクタールまで面積が落ちました。そこで、収穫機を15年がかりで開発して13年から使い始め、面積はかなり回復しました。機械が導入されると栽培がかなわなかったところででも導入が可能になり、高収益を得て経営が良くなることも考えられます。

 農家の間で土地の交換も進んでいます。離農者の土地を引き受けていくと、農地が飛び飛びになるので、それをまとめるための交換分合ですね。今後も進めていかないといけません。

 ジャガイモは収穫時に収穫機に何人かが乗って機上選別をします。これをなくし、選別を無人化する施設を今年、作りました。AIを使ったジャガイモの選別をします。おそらく世界初でしょう。今は画像を収集していて、今後AIに病気などの不良品を覚え込ませます。

 産地として維持するということを考えて、連想ゲームのようにさまざまなことをやっています。トランスボーダーファーミングはその中の一つのアイテムです。大きい区画で効率的に作業をしたい。その延長上にあると思います。

  
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