赤坂英一の野球丸

2019年11月18日

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(AP/AFLO)

 今年2回目を迎えた野球の国際大会WBSC(世界野球ソフトボール連盟)プレミア12、決勝は〝宿命の対決〟日本-韓国戦となり、日本が初優勝して大いに盛り上がった。が、東京ドームでこの大会を取材していて、プレミア12も日本代表の侍ジャパンも、そろそろひとつの曲がり角を迎えているのではないかと感じたのも確かである。

 稲葉篤紀監督率いる現在のチームは今年のプレミア12、来年の東京オリンピック、再来年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)と3年続けて野球の国際大会に出場する。つまり、〝3年連続世界一〟を目指すわけだ。

 しかし、オリンピックの公式競技としての野球、MLBとMLB選手会が共同で設立した団体WBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)が主催するWBCと違って、プレミア12が〝世界一〟を決める大会だと認識しているファンはあまりいないだろう。理由は改めて言うまでもない。世界で最大の野球大国、アメリカからメジャーリーガーのトッププレーヤーがひとりも出場していなかったからだ。

 それならオリンピックやWBCも大同小異ではないか、と指摘する声もあろう。が、2015年に発足したばかりでほとんど歴史がなく、スーパーラウンド(決勝リーグ)の開催地も日本だけと最も規模の小さなプレミア12は、五輪やWBCより国際試合としてワンランク落ちる印象が強い。

 それでも、侍ジャパンは今回も可能な限り、日本プロ野球を代表する選りすぐりの選手を集めてチームを編成した。西武・秋山翔吾、広島・菊池涼介と、このチームからメジャーリーグへと羽ばたく選手もいる。侍ジャパンは言わば、日本が世界に誇る最高の、もしくはそれに近い実力者ぞろいのエリート集団なのだ。

 それほどの代表チームが、アメリカの一流メジャーリーガーのいない大会に出る以上、勝たなければならない。また勝てるはずだ。そういう前提の下で、侍ジャパンはプレミア12に参加した。

 だが、2009年の第2回WBC以降、世界一の座から10年間遠ざかっていたことからもわかるように、一発勝負の国際大会では必ずしも〝実力格差〟通りの結果になるとは限らない。勝って当然と期待されるプレッシャーを抱えた侍ジャパンは、そのためにかえって硬くなったりミスを犯したりして、いままでに何度か肝心の試合を落としてきた。

 今回、韓国と激突したプレミア12決勝戦も、序盤は先発の山口俊が2本塁打で3点を先制され、満員のスタンドをヒヤリとさせている。恐らく、稲葉監督も相当の精神的重圧を感じていたはず。そういうところに、このエリート集団の抱えたジレンマがあるのだ。

 プレミア12でそんな〝見えざる弱点〟が一度だけ現れたのが、東京ドームで行われたスーパーラウンド・アメリカ戦だった。先発のソフトバンク・高橋礼をはじめ、オリックス・山岡泰輔、中日・大野雄大らエース級の投手陣が4点を失い、打線が広島・鈴木誠也、楽天・浅村栄斗ら主砲クラスの打棒で3点を取って追い上げるもあと一歩及ばず、今大会初黒星を喫している。

 日本のエリート集団がアメリカのエリートがひとりもいない集団に敗れたわけだ。これが一発勝負の国際大会の怖さである。

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