ショーゼンさんの 川柳いろは教室

2012年4月20日

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杉山昌善 (すぎやま・しょうぜん)

1943年生まれ。川柳は川柳作家・時実新子氏に師事、テレビ・雑誌などさまざまな媒体で選者を務めるほか、都内を中心に川柳教室などを開く。著書に『今日から始める現代川柳入門』、『60歳からの新しい川柳』(実 業之日本社)ほか。

現代川柳は“自画像”

 人物画っていっても「他人」を描くか、「自分」を描くかの二種類がある。

 川柳は江戸時代に江戸で生まれた大衆文芸で、他人を詠むのは川柳の伝統的な方法。新聞が展開する時事川柳や、企業が募集する「○○川柳」は、この流れを汲んでいるんだ。デキない政治家を詠んだりね。

 でも、僕がやっている現代川柳は、「自分」を詠む「自画像」。他人を笑うと面白いんだけど、僕はちょっと後味が悪い。それならば、自分を笑っちゃおうっていうのが、現代川柳の基本。

妻が来る味方を呼んだはずなのに

 ええっ、気を利かしてくれたんだろうけどワイフはまずいよう、来る前から形勢不利を覚悟・・・ってね。そんなプチ苦境とか、ないですか? 

 人間感情のなかでも「怒・哀」を詠むとおもしろくなるから。ド・アイがコツよ。

 自分という素材は24時間一緒にいる。「経験とは、平等に与えられた才能である」って言葉があるけど、それぞれ違った人生の面白さを抱えているじゃない?
まずは自分がどんな素材で、どんな料理になりえるのか。そんなことを考えるところから始めるのがいいですね。

 本来川柳は、お題に沿って詠むものなんだけど、最初は難しいことは考えなくていいよ。

川柳の3大要素って?

 だからまずは、自分のなかの“この気持ちを詠もう”を決めること。最近の「怒・哀」はなにかな? そして素材が決まったら、川柳の3大要素「ウガチ・カロミ・ワライ」に従って実作しましょう。

「穿ち」:物事や人心の核心にふれる
 ゆうれいは皆俗名であらわれる
「きのう○○居士の幽霊が出てきてさあ」なんて言わないよね。じゃ戒名は葬式用か? ってこと。うまい角度を突いてくる。

「軽み」:軽やかで気がきいている
 涙なんかどんどんビールで補充する
涙をビールで補充なんて。こういうフットワークの軽さが◎!

「笑い」:うれしさ、おかしさ、照れくささ、自分を笑い飛ばす
 神様に玩具にされてうれしいな 
ヤケもここまで来ると潔いでしょ。

 この要素があると、平明にして深い川柳を詠むことができる。感情を詠むと言ったって、「哀しいよー!!」って叫ぶだけじゃ作品にならないでしょ。自分が主人公のドラマ台本を書く、というイメージかな。

 「最大の謎はわたしの今の顔」。句の中に作者が棲んでいるんだ。それを第三者が読んで面白いと思えるかどうかが勝負ですね。

 まずは、「下手でも何でもいいから、自分の見た物・事を自分の目と耳と心とことばで、川柳にしてみる」。僕の先生だった時実新子(ときざね しんこ)さんの教えです。

 読む人より詠む人になりましょうよ! 次回は、実作をしながら、ルールやコツを学んでいきます。

→次ページ 「ひととき旅川柳」入選作品と応募要項を発表!!

 

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