2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2012年4月19日

 まもなく、リーが記した犯行声明もネット上で発見された。声明文にはこう記されていた。

 「ライオン、トラ、キリン、ゾウ、カエル、カメ、サル、アライグマ、ハチ、アリ、サメ、クマの命を救うほど重要なことはない。そして、もちろんリスたちの命も重要だ。じゃあ人間は?地球は人間を必要としていない」

 ベテランの交渉役専門捜査官がリーと折衝にあたった。「地球上の人間の数が多すぎる」。リーは捜査官に語った。そして、こんなこともつぶやいた。

 「ぼくには何の生き甲斐もない」

 「どうしてそんなことを言うんだ。ミスター・リー。生き甲斐がないとはどういう意味だ」

 「この世の中さ。もう終わりなんだ。わかっているだろ」

 リーは何度も自爆願望を口にした。交渉役はその度になだめて、リーの要求を実現しようとした。望遠カメラの映像から、リーのそばに複数の爆破装置らしきものがあることがわかった。

 最悪の事態が訪れる危険性が刻一刻と迫っていた。高性能のライフルを持ったSWATのメンバーがじりじりとリーのそばに詰め寄っていた。 (後篇は4月20日公開予定です)



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