まもなく、リーが記した犯行声明もネット上で発見された。声明文にはこう記されていた。
「ライオン、トラ、キリン、ゾウ、カエル、カメ、サル、アライグマ、ハチ、アリ、サメ、クマの命を救うほど重要なことはない。そして、もちろんリスたちの命も重要だ。じゃあ人間は?地球は人間を必要としていない」
ベテランの交渉役専門捜査官がリーと折衝にあたった。「地球上の人間の数が多すぎる」。リーは捜査官に語った。そして、こんなこともつぶやいた。
「ぼくには何の生き甲斐もない」
「どうしてそんなことを言うんだ。ミスター・リー。生き甲斐がないとはどういう意味だ」
「この世の中さ。もう終わりなんだ。わかっているだろ」
リーは何度も自爆願望を口にした。交渉役はその度になだめて、リーの要求を実現しようとした。望遠カメラの映像から、リーのそばに複数の爆破装置らしきものがあることがわかった。
最悪の事態が訪れる危険性が刻一刻と迫っていた。高性能のライフルを持ったSWATのメンバーがじりじりとリーのそばに詰め寄っていた。 (後篇は4月20日公開予定です)
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。