2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月23日

 中国が軍事情報や産業機密を標的にサイバー攻撃を仕掛けているのは米国ではもはや常識となっています。ところが、インターネット通信への介入は最小限にすべし、プライバシーも尊重すべしなどの議論があって、対処はうまく行っていません。クラークはこうした現状に対し、適切な防護をしないことで米国がどれほどの損害を被っているかを考えれば、議会または政府がこの問題に真剣に取り組むべきだ、技術的に監視は可能で、情報流出は阻止しうると言っているわけです。

 もしクラークが言うように、ネット上のやり取りを国境で抑えることが技術的に可能であり、かつ、費用対効果で効率的であるのなら、米国でも日本でもそれをやるべきでしょう。

 日本については、憲法の通信の秘密の保護規定との関係やその他検討すべき課題はあるように思われます。

 日本では現在、意図的あるいは過失による機密漏洩への対処を念頭に置いて機密保全法が議論されていますが、情報窃取のためのサイバー攻撃は、やられているか否かも分からない話なので、対象外になっています。しかし、サイバー情報窃取のウェイトが高まっている中で、何の対策もとらなくてよいのかどうか、機密保全法の国会提出の延期で時間が出来た今、考える価値があるかもしれません。


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