Washington Files

2020年1月20日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 「小さな政府」を標榜してきたはずのトランプ共和党政権下で、財政赤字が拡大の一途をたどっている。社会保障など国民の社会サービス向上要求が高まるにつれて、「ビッグガバメント」やむなしとする“新保守主義”論議も党内で活発化してきた。

 ブルームバーグ・ニュースが今月13日、報じたところによると、2020年度第1四半期の米財政赤字は前年同期比11.8%増の3566億ドルとなった。年度末(今年9月)には赤字は1兆ドルを突破する見込みという。

 赤字増大の主な要因として挙げられているのが、①社会保障費②国防費③メディケア、の3項目であり、同時期に社会保障費は2850億ドル、国防費1870億ドル、メディケア3930億ドルの赤字増となった。

(AlexLMX/gettyimages)

 財政赤字は過去歴代政権下でも増加し続けてきた。レーガン政権下の8年間で186%アップの1兆8600億ドル、ジョージ・W・ブッシュ政権下で101%アップの5兆8490億ドル、オバマ政権下で74%アップの8兆5880ドルを記録している。

 財務省試算によると、トランプ政権の場合、2021年1月末までの1期4年間の赤字は25%アップの5兆880億ドルに、そして同大統領が2期務めた場合は9兆1000億ドルに膨張するという。つまりオバマ前民主党政権時よりさらに赤字が拡大することになる。

 特筆すべきことは、特殊事情によりやむを得ず大規模政府支出を余儀なくされた過去の大統領とは異なり、トランプ政権の場合は、“平時予算”にもかかわらず増加し続けている点だ。

 レーガン政権の場合は、世界各地への軍事拡張に乗り出したソ連との対抗上、軍事支出拡大(34%増)、そしてカーター政権当時から低迷した経済再建のための大幅減税実施による減収、ブッシュ政権では「9・11世界同時多発テロ」以後のアフガン、イラク両戦争関連出費、オバマ政権下では、世界大恐慌以来といわれた2008年以後の深刻な世界同時不況脱出のための大規模な景気テコ入れ策、といったそれぞれ予期せぬ出費があったことを忘れてはならない。

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