要するに、他国の国内事項については自制することは間違っていませんが、米中関係に関する大戦略から言えば、一党独裁の中国指導部の権威失墜は、長期的な米国のアジア政策にとって不利な条件ではないというのもまた事実です。
意図的なコメントは出さなくても、亡命を希望した公安当局者の証言を詳しく聴取して、それを正確に伝えるだけで十分な効果がある(おそらく英国人殺害の背景にある上流階級のマネー・ロンダリングや大規模収賄や権力の乱用といった事実が露見する)状況であり、その点、政府は絶好の機会を逸したという共和党側の批判にも一理あります。
まして、イグネイシャスのように、「中国が新たな、そして願わくばより開放的な政治体制に向かう過渡期にある今、中国の弱みに付け込むのは愚かなことだ」とまで言うのは、中国の意向を常に忖度していると思われる親中派のホワイトハウスの専門家の意見の口移しであるでしょうが、少し甘過ぎるように思われます。
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