しかも、万一これらで効果が出なければ、中国は、背後に控えて脅しを利かしてきた海軍艦船を実際に使用することができる。まさに、クラウゼヴィッツもきっと満足するだろう巧妙な戦術だ、と言っています。
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中国は、沿岸警備艇をはじめ、非軍事的な船の建造を急ピッチで進めており、各造船所は新鋭警備艇を続々浸水させていると言われているにも拘らず、この事実はとかく見逃されてきました。ヨシハラらは、しかし、大砲やミサイルを積んでいないからといって、これらの船が持つ政治的役割や意味合いを決して軽視してはならない、つまり、海軍力を動員しなくても、シーパワーを示威することはできる、と言っているわけです。そして、このやり方は、言わば、「飛車」「角」を独り占めにしておけば、「歩」だけで将棋に勝てる、「歩」だけなら、怖そうな外観を呈することもなく、中国にとっては良いことづくめ、他方、米国や周辺諸国がこの巧妙なやり方に対抗するのは難しい、と警告しているわけです。
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