スウェーデンで生きる 海外移住だより

2012年5月15日

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介護サービスの満足度はやはり高い

 2010年に行われた、65歳以上を対象とした高齢者介護の調査(全国医療福祉委員会と統計中央局の共同調査)によると、顧客満足指数(Nöjd-Kund-Index)が在宅介護サービスはスケール100のうち75、特別住宅は72の評価を受け、どちらも「とても満足」の領域に入る結果となっています。ここ近年、介護を始めとする高齢者福祉は社会の強い批判を浴びていますが、それに反して、多くの高齢者は現在の介護サービスに満足しているようです。

著者の家の近くにある、シニア住宅。外観も内部も普通のアパートと何ら変わらない。

 介護福祉以外でも高齢者向けの社会的サービスはたくさんありますが、その中でも興味深いのが「シニア住宅」。これは、55歳以上の希望者しか入居することのできない住宅です。介護住宅ではなく一般の住宅なので、個人の空間はしっかり維持できます。それに加え、周りには価値観や趣味、話の合う人々が集まるのです。こうした場所では、音楽会や食事会、スポーツ大会などの様々なイベントが頻繁に行われ、住人同士の交流が深められます。定年退職後に社会との関わりが薄くなる高齢者にとって、こうした住宅は意義のあるものですし、「孤独死」のリスクも防ぎやすくなります。地域や近所との繋がりを強めるこのアイディアは、核家族化が進んでいるスウェーデンに特有のものではないでしょうか。

 福祉には「これが一番である」と断定できる制度がないように、スウェーデンにも議論すべき点・改善すべき点はまだまだあります。今までは、高齢者介護の実態が不透明で徹底した討議がされてこなかったようにも思われますが、最近は、高齢化社会の問題を取り上げるメディアの頻度も増え、社会の関心が高まっているのがよく分かります。スウェーデンに住み、税を納める全ての人が、「高負担低福祉社会」になることだけは避けなければならないと考えていることだと思います。2014年の総選挙に向けて、高齢者政策は重要な論点となるでしょう。


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「今現在の65歳以上の人口は1600万人で、全人口の18%。推定によれば、この数は50年後には2700万人に増え、人口の約27%を占めるとされています。」は、「今現在の65歳以上の人口は160万人で、全人口の18%。推定によれば、この数は50年後には270万人に増え、人口の約27%を占めるとされています。」お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。(2012年5月16日13:00)

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