2024年12月22日(日)

スウェーデンで生きる 海外移住だより

2012年2月14日

 2月7日、フレデリック・ラインフェルト(Fredrik Reinfeldt)首相が、定年を最高75歳までに引き延ばす見解を示した、というニュースは日本の皆さんも多くの方が耳にされたと思います。スウェーデン紙ダーゲンス・ニューヘテル(Dagens Nyheter)のインタビューで語ったもので、退職年齢の引き上げなしには福祉制度が立ち行かなくなる、と述べました。

日本は「持続性」評価の低さが目立つ。
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 高福祉高負担で知られるスウェーデンは、手厚い社会保障の国としてメディアでよく取り上げられます。オーストラリアのMercer社が毎年行っている「メルボルン・マーサーグローバル年金指数」では、日本の年金制度は昨年、調査対象16カ国中14位に順位付けられましたが、スウェーデンは4位。しかし、ラインフェルト首相の発言からも分かるように、スウェーデンでも高齢化に伴い年金施策に対して何らかの対策が必要との声が出てきています。

高負担でも世界4位の評価
スウェーデン年金政策の実態

 まず始めに、スウェーデンの年金制度を少しご説明したいと思います。

 スウェーデンでは、高齢化社会への対応や持続性の改善を目指して、1999年に年金制度の抜本改革が実施されました。それによってできた現在の制度は、基礎部分のAllmän pension(国民年金)、そして付加部分のTjänstepension(職業年金)とPrivat pension(個人年金)から成り、それぞれが独自のシステムとして機能しています。

 年金制度の土台となっているのが、国営年金機構が運営するAllmän pensionで、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせた体系になっています。所得比例年金は、16歳以上の国民が被保険者となり、年間収入のうち18.5%を保険料として年金機構に支払います。収入対象額には上限と下限があり、2012年は年間収入44,000kr(約497,200円)以上の国民が対象、409,500kr(約4,627,350円)を越えるとその超過分は対象外となります。また、「収入」とは賃金に限ったものでなく、奨学金や、育児・病気休暇中または兵役中などに受けた給付金など、あらゆる所得が含まれます。

所得比例年金と最低保障年金を組み合わせたスウェーデンの国民年金。所得比例年金18.5%のうち、16%が賦課方式、2.5%が積立方式をとっている。
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 18.5%のうち16%が賦課方式部分ですが、2.5%はPremiepension(プレミアム年金・積立方式部分)として各自が選んだ投資信託に委託するので、その投資を上手く運営することでこの2.5%分の年金受給額は増やすことができます。

 低所得または無所得の人たちに与えられる最低保障年金は、全額国庫負担です。この最低保障年金を満額受給するにはスウェーデンに最低40年住んでいることが条件で、2012年現在の受給額は、独身者の場合が月7,810 kr(約88,253円)、既婚者は月6,967 kr(約78,727円)です。(2012年2月3日現在、1kr=11.3円)


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