この頃には実際にメディアがハーバードの学生に接触をする動きが活発に始まっており、日本人留学生にもメールでCNNなど主力メディアから「何か情報があったら電話してほしい」とメッセージが入ってきたそうだ。
寄付金増加 中国との微妙な関係
ハーバードがこうした動きに配慮せざるをえないのは中国との微妙な関係がある。ハーバードは米国を代表するリベラルな大学であり、中国に過剰に気を使う必要はないとも思うが、現実には近年、学部や大学院を問わず、中国からの留学生が増えていることや、ハーバードの卒業生が中国で政治やビジネスの重要な地位についていることを強く意識している。また中国関係の寄付金が増えていることなども背景にあるとみられる。
ハーバードは正規の学生以外にもさまざまな形で研究員などを受け入れているが、こうした動きも中国をはじめ各国政府スポンサーの意向を意識したものだ。いわゆる中国の「太子党」という高級幹部の子弟の多くが米国の名門大学に留学しているが、中国人留学生によると、次期最高指導者・習近平氏の娘も現在ハーバードの学部に在籍しており、中国関係の授業などに出ているそうだ。
「フェラーリに乗ってない」と学生新聞で自身を正当化
薄瓜瓜氏については4月下旬に新たな動きがあった。ハーバードの学内新聞である「ハーバードクリムゾン」の記者宛に、「自分自身へのうわさや批判に対する事実関係を説明したい」として、自身が事実と称する内容をメールで送ってきたのだ。
クリムゾン紙がその全文を掲載しているが、その中には「学費は、奨学金や母親が弁護士や作家として得た資金をあてている」、「学校の成績は英国にいたときからずっと良い結果を修め続けている」、「フェラーリに乗ったことはない」などと自身を正当化する内容が並んでいた。
メッセージの最後は「これを機会にケネディスクールには引き続きコミュニティの一員として扱ってもらっていることに感謝する。報道関係者には私の指導教授や友人、クラスメートの生活に立ち入ることを心底自粛してもらいたい」という言葉で結んであった。薄瓜瓜氏は5月24日にケネディスクールの卒業を控えていたはずだが、学期末試験なども受けられない状況だけに、本当に卒業できるのかどうかは微妙だ。ただ今後の父母の処遇と連動して引き続き動向が注目されるのは間違いなさそうだ。
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