2024年7月20日(土)

子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年5月25日

(1)父は離別し、母は失踪した。祖母が孫たちを養育しているが祖母も心療内科に通院している。
(2)兄妹は5人。末の弟は母親から虐待を受け、児童自立支援施設で暮らす。母親には金銭の管理能力がない。姉(長女)も不登校。中学生の妹も入学後から不登校。
(3)4人兄妹の全員がADHD(注意欠陥・多動性障害)・発達障害・情緒不安定。中学生は知的障害で特別支援学校へ入学する。
(4)母親は精神疾患で自傷行為。家族は祖母と姉妹(姉は通信制高校中退)。妹は中学生で、「姉のようになりたくない」と言う。

 4つの家族の(1)以外は母子世帯である。子どもを持つ生活保護世帯には一人親世帯の多さが目立つ。80%を上回る。

 しかも(1)から(4)まで、支援が必要な対象者が1世帯に複数存在する。生活保護世帯には実はこのようなケースがきわめて多いのである。福祉事務所のケースワーカーの支援は主として世帯主であるが、世帯の中の子どもの支援は今の生活保護制度の枠では難しい。子ども・若者対策が必要である。

母子世帯も目立つ底辺校

 家族の実状からも、貧困が子どもや若者を人生の可能性から排除している様子がわかる。虐待、発達障害・知的障害など見つけられないまま放置されている。その結果としての不登校・長期欠席である。貧しさは他者とつながる機会を奪い、制服や交通費などの移動手段を持てないことで、部活動や学校の教育活動への参加をも拒んでいる。

 「底辺校」を訪問すると、生活保護世帯も多いが、目立つのは一人親世帯、とりわけ母子世帯の多さである。 東京のある地域の中学の校長先生から、「うちの学校は就学援助率は70%、一人親世帯も5割を超えている」という話を聞いた。

 母子世帯の平均所得金額は 231万4千円(2009年)で子どものいる世帯平均(688.5万円)の3割でしかない。ほとんどの母親は働いているが、常用雇用者が39.5%、パート・アルバイトが52.9%である。離婚した元夫からの養育費の支払いがないことも母子世帯が貧困である理由となっている。

格差がコミュニティづくりに落とした影

 貧困であるがゆえに学校の教育活動に参加できないことで、子どもたちはどのような被害をこうむるのか。学校は子どもや生徒が友だちを作る場だ。その意味で居場所、社会的関係性をつくるスキルを学ぶ場である。他者への理解や社会的な一体感や帰属感を知ることで、その後の仕事をする上でも重要なスキルを学ぶ。

 ところが、貧困は子どもや若者たちから、そのような「場」と「機会」の喪失・はく奪を生み、結果の不平等をもたらし、人生の可能性を排除している。

 貧困層の若者たちの意欲の喪失は、競争社会の前提である社会の活性化をも失わせている。

 多くの地域で失われたと思われている地域コミュニティの再生に最も重要なのは、子どもや若者たちのコミュニティづくりである。


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