2024年7月15日(月)

子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年5月25日

広がる格差の中で希望を失う若者たち

(図1)高校グループ別中退率
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 筆者は、平成20(2008)年の12月、「学校間格差と意欲・学力・貧困」をテーマに、埼玉県の県立高校50校で3年生の1200人を対象にアンケート調査を行った。当時の県立150校を、「進学校」(トップ高校の最高170点超、平均160点)をG1とし 「中堅校」をG3、「底辺校」(グループ最下位高校の平均点70点 最低50点以下)をG5とした。(当時入学試験 200点満点)

 図1と図2の2つの資料から、次のことが言えよう。入学試験の点数が低いほど、中退人口は多くなる。平成16(2004)年度入学者で比較するとG5の中退者はG1の14.5倍だった。親の貧困度(授業料の減額免除率)を示す図2では、G5グループ校には、G1グループの5.5倍もの授業料の減額免除を受ける生徒がいることがわかった。つまり親が貧困であればあるほど、学力も低く高校中退率も高いということになる。

(図2)授業料の減額免除率
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 「親は自分に期待しているか」(図3)という問いに対して、G1の進学校からG5の底辺校に近づくほど、親の期待は薄くなり、「高い学歴」はほとんど期待されていない。G1とG5との「期待格差」は3対1にも広がっている。

 学歴や「将来の夢」への関心を失った生徒や親たちが増加していると思われる。この傾向が学校に対する期待、学校で学ぶ価値、学校文化への評価や期待を下げる要因になっている。しかし、実際、これほどまでに高校間格差ができると、学校が子どもたちの中に絶望感を生んでいるようにすら見えた。

「バカ学校だからつぶされるんだ」

 筆者は高校を中退した若者たちから、こんな話を聞いた。

(図3)「親は自分に期待しているか」
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 統廃合の対象となり、「うちの学校はバカ学校だからつぶされるんだ」。

 入学した学校は、自分より学力の低い生徒ばかりで、部活動がほとんどなく、「入った学校は思ったよりひどかった」。「ぼくは、こんな高校に入ったんだ」という言葉すらこの若者の口から出た。

 こんな思いで学校に通う生徒たちがいる。

 「お金もないので、資格が取れず、やりたい職には就けない」と安定した就職をあきらめ、「助けてくれる親戚はない」と孤立感を深め、最後には、「裕福な人とは生きている世界が違う」「この社会は平等ではない 」と、社会に対する絶望感すら漂う。

 ここには、能力を形成する機会を失い、この社会に希望を持てず、孤立した若者たちがいる。


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