2024年7月22日(月)

子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年5月25日

転落する中間層の若者
社会に対する憎悪すら

 教師たちからは、「生徒は居場所がなくて学校に来ている」という話も聞いた。

 いわゆる「底辺校」の生徒たちの中には、広がる格差の中で、もともと貧困層であるがさらに下層でしか生きられないことが見えてくる子どもたちもいる。そこには絶望しか残らない。

 下層への転落が鮮明になった中間層の若者の心の中には「やる気、意欲」の喪失に止まらず、社会への憎悪すら生まれてくる。

 2008年、土浦、秋葉原、八王子などで、派遣労働など非正規雇用の若者による犯罪が相次いだ。いずれも5年から10年の非正規雇用労働者だった。

 秋葉原事件のK(当時25歳)のいた工場は、当時、30歳平均で、正社員は560万円(給与35万円+ボーナス2回)だが、準社員は364万円(給与28万円+ボーナス1回)、派遣社員は264万円(時給1300円、月22万円)で、しかも3カ月契約更新だった。(乾 彰夫『“学校から仕事へ”の変容と若者たち―個人化・アイデンティティ・コミュニティ』 (AOKI教育LIBRARY,2010年)より)

急がれる若者支援

 常に、派遣切り→住居の喪失(退職金・失業保険なし)→生活保護というぎりぎりの不安の中で多くの派遣労働者の若者は生きている。

 犯罪は許されない。断じて許されない。すべての派遣労働者が犯罪を起こしはしない。しかし、多くの若者たちが、格差と貧困の中で結婚や住居や安定した生活とは縁のない、先が見えない暮らしをしていることは疑いない事実である。そんな若者たちが社会への憎悪を溜め始めているとしたら、この社会の不安定性はいっそう高まろう。不安定要因は、犯罪だけではない。様々な反社会的な行動も現れてくるだろう。現在、日本社会にとって若者支援は最も急がれる社会政策である。

学力と持ち家率にも強い相関が

(図4)住居の形態
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 高校の格差を調査する中で、低学力がどのようにしてつくられるか、見えてきた。図4は同じ公立高校に通う生徒でも、学力と住居に大きな格差があることがわかった。

 G5の底辺校の生徒の持ち家率はG1の進学校の生徒の6割でしかなかった。底辺校に近づくほど持ち家率は下がっていく。つまり学力と持ち家率との間にも強い相関がある。考えてみれば、自分の部屋を持ち、自由に本を読んだり、音楽を聴いたり、パソコンを持っていて様々な情報に触れる機会を持った生徒と、家族と食事も居間も寝室も兼用している部屋の中でごちゃごちゃに暮らしている生徒との間に学力の差がつくのは当然だろう。

生活保護世帯と一人親世帯の実状

 次のケースは東日本のある地域の生保世帯の子どもたちと家族の状況である。


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