2024年4月20日(土)

ペットビジネス最前線

2012年6月8日

ペットを飼う理由は「癒されたい」から

 少し目線を変えて「ペット」と「癒し」を見てみましょう。まずはペットを飼う側が受ける癒しに関して。

 時代背景や環境によっても変わってくるものだとは思いますが、最近の統計によると、ペットを飼うのは「癒しを求める」ことが大きな理由になっているようです。(http://www.alibaba.co.jp/aboutalibaba/research20081030-10000365.htm)(http://www.huma-c.co.jp/topic/enquete_pet.html

施術を受け、リラックスするペット
(写真:著者提供)

 ペットに対し「飼育動物」から「愛玩動物」「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」へと、人間の意識が高くなり、飼い主はペットに対し伴侶としての癒しを求めるようになってきました。少子化・晩婚化・情報社会、核家族化、個人主義、地域問題などが原因で、人と人の関わりあいが希薄になってしまったため、人間以外の生き物に癒しを求めているのではないでしょうか。

 人と動物の関わりがもたらす効果に関しては、医学的にも研究が行われています。今までは人間側が受ける効果に関しての内容が多かったのですが、最近では動物側が受ける効果も同時に検証されています(http://takamidai-clinic.com/?p=2815)。

 こうした研究結果を見ると、飼い主と伴侶動物の相互関係が重要と考えられ始めているようです。人間とペットが良い関係を保ち、お互いが心身ともに健康でいられる方法が模索されています。このことが、ペットを「伴侶」ではなく「所有物」として認識していたような今までの飼い方では不十分だと考えられ始めた表れである、と捉えるのは飛躍しすぎでしょうか。

「動物福祉」としての「癒し」

 では、ペットに癒しを与える側に関して。

 施術に関しては治癒効果によってQOL(生活の質)の向上・癒すという理由があります。留守番時間が長いから、長時間遊んで疲れているようだから、ストレスがたまっているようだからなどの理由で利用する飼い主も多いようです。もちろん飼い主が観察・理解して与えるべき行為です。

 否定的な意見としては、単に飼い主のペットに対しての「擬人化」、「人間が癒されるから、ペットも癒されるだろう」という飼い主の考えによる「体験の共有化」ではないか、という見方もあると思います。根拠も効果も立証できない方法で売り上げを伸ばすための企業側の戦略、という見方もできるでしょう。サービスである以上、提供する側・利用する側の意識で良くも悪くも捉えられます。

 しかし可能性として、ペットとの一方的な関係や生活を改め、お互いが理解しあうための一つの手段だと考えられないでしょうか。

 人間が、動物に心身両面の幸福を与えるための指針である「動物福祉」に、「5つの自由」という考え方があります。


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