さらに、国際比較を行ってみると、生活保護費対GDP比はOECD平均が0.7%であるのに対して日本は0.3%、生活保護率は日本1.6%、フランス5%、イギリス・ドイツ9.7%、捕捉率(生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数の割合)は日本20%、ドイツ65%、イギリス90%、フランス91.6%。そして扶養義務に関しては、日本のみが別世帯の親・兄弟姉妹、その他の三親等内の親族に課している。
このようにわが国の生活保護制度を他の先進諸国と比べると、幾つかの相違点が浮かび上がってくる。それは、(1)保護率が低い、(2)捕捉率が低い、(3)扶養義務の範囲が広い、ということである。
次回は、こうした実態を踏まえた上で、元々、貧困世帯への政府の関与が著しく小さいわが国にあって、若者世代の雇用環境の悪化、低所得化、貧困化が進む中、親・親族の扶養義務が強化されることの問題点と、個人が直面するリスクの社会化の手段としての生活保護制度の改善策について検討してみる。
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