アジア諸国を送電線で結び日本までの電力融通が可能になるのは、アジア各国が成長し、各国の電力需要が安定化する時だろう。それは、かなり先に違いない。その時、日本では電力需要に関係する人口と世帯数の減少が進み電力需要が減少している可能性が高い。融通の必要はないだろう。モンゴルで発電し融通を行うのであれば、日本の各地に発電設備を分散のうえ設置し、国内の送電線網を整備するほうが、投資額は少なくなる。
消費者の負担を増やすだけ
孫正義氏は、自然エネルギー財団を設立し、太陽光発電を日本の各地で行う。電力不足を賄うために利益はなくても行うと聞いたが、1kW時42円という世界でも珍しい高値の買い取り価格を辞退するという話は聞かない。欧州諸国では買い取り価格制度導入当初、有利な買い取り価格故に異業種から事業者が殺到したが、日本では早々と孫氏が地方自治体を巻き込んで一番有利な場所を確保したように思える。
今度は、一事業者が国を巻き込み電力輸入を狙っているようだが、再生可能エネルギーと同様に費用負担は電力の消費者が行うしかない。一事業者にとり有利なビジネスを実現するために、政治を巻き込み消費者の負担を増やすのは勘弁してほしい。
国民にもたらされる便益と費用を比較すると電力輸入が国民に便益をもたらすことは少なく、再生可能エネルギー買い取りと同じく、費用負担を増やすだけだろう。その国民が負担した資金が特定の事業者に渡るのを政治はまた許すのだろうか。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。