世間の圧力に屈したことを意味する
一方、バイデン氏のマスク着用を批判したトランプ氏がようやく、着用に踏み切ったことについて、バイデン陣営のスポークスマンは12日、以下のような談話を発表、トランプ氏のとってきた姿勢を糾弾した:
「マスク着用は、ウイルス感染拡大予防のための極めて重要なステップの一つだったが、大統領は何か月にもわたり、医療専門家の助言を無視し、これを政治問題化し続けてきた。彼はアメリカの大統領として責任と指導力を発揮しないまま、4カ月もの間、無為に時間を過ごしてきた。この間、国論を分断させ、国民は犠牲を強いられ、互いに安全を確保し合うための措置を遅らせたことで、甚大な被害をもたらす結果となった。その責任はとてつもなく大きい」
トランプ氏は、コロナウイルスの脅威そのものについても、去る6月13日、政治集会で「新型ウイルスは“見えざる敵”だが、我々は近く、これを打ち負かすことになる」と力説、克服への自信を表明した。続いてペンス副大統領も同月16日、ワシントン・ポストへの寄稿の中で「われわれは、大統領の適切な指導の下で、新型ウイルスとの戦いに勝利しつつある」と述べるなど、政権挙げて、今回のコロナ禍早期収拾に楽観的姿勢を貫いてきた。
ところがその1カ月後には、大統領としてついに、マスク姿を公衆の前にさらさざるを得なくなった。‟見えざる敵”に敗北した。
ナンシー・ペロシ下院議長は12日、CNNテレビ番組に出演、今回のトランプ氏の行動について「マスク着用が感染拡大予防の一助になることをようやく自ら認めたものであり、世間の圧力に屈したことを意味する」とコメントした。
結局、トランプ氏にとっては、マスク着用は当初、たんなる「個人のスタイルの問題」のはずだったが、今日まで着用を拒否し続けてきた間に、コロナ禍がより深刻化する事態となり、その責任問題にまで発展するという思わぬ結果となってしまった。
払った代償は、余りにも大きなものとなったと言わざるを得ない。
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