2024年4月24日(水)

Washington Files

2020年7月15日

コロナ危機の存在を初めて公式に認めた

 しかし、大統領の初のマスク着用は、たんに公衆衛生上の姿勢を変えただけにとどまらない。トランプ政権として、これまで軽視し続けてきたコロナ危機の存在を初めて公式に認めた象徴的出来事であり、言い換えれば、コロナの猛威に完敗したことを意味する。

 なぜなら、これまで、大統領選のライバルであるバイデン候補はじめ、民主党が党挙げて、有権者にマスク着用の重要性を訴えてきたのに対し、同政権は「マスク着用問題」をあえて政治的争点としてとらえ、ホワイトハウスはじめ政権内部でも、マスク着用を極力、無視し続けてきたからだ。

 早速、有力月刊誌「New York」のウェブマガジン「Intellegencer」は、大統領が初めてマスク姿を見せた同じ11日付で「トランプ、99日後についに公衆の面前でマスク着用」の見出しを掲げ、以下のように報じた:

 「コロナウイルス・パンデミックが始まって以来、トランプ大統領が初めて、公衆の前でマスク着用したが、これはCDC(疫病予防管理センター)が感染拡大予防措置として常に国民にマスク着用を勧告した去る4月3日以来、99日目というあまりにも遅すぎた一里塚となる行動である。しかし、この間、コロナウイルスはわが国経済を打ちのめし、320万人以上の市民を感染させ、全米で13万4000人の命を奪った」

 「トランプがマスク着用を拒否してきたため、彼の仲間、一族郎党もこれに従う結果となり、公衆衛生上のごく一般的なこの予防措置拒否を政治的対立点にまでさせてしまった。結局、大統領が多くのアメリカ国民のマスク着用を遅延させたことで、各州で恐るべきコロナウイルス感染第2波へと増幅させる事態を招来させたことになる」

 「CDCが4月初旬、マスク着用を全国民に勧告した際も、大統領はその直後に『自分は個人的に着用しない』と語り、その後も、着用があたかも大統領らしくないとか、男性の行動としてふさわしくないと思わせるようなメッセージを発信し続け、マスクなしで多くのイベント会場にかけつけた。関係閣僚やスタッフたちも例外なしにこれに付き従った」

 「その挙句に、去る5月26日には、テレビ会議の場にマスク姿で現れたバイデン候補に対し、侮蔑的言葉で批判したほか、来月、フロリダ州ジャクソンビルで開催予定の共和党全国大会についても、参加者へのマスク着用義務付けを任意とするよう指示、各方面から猛烈な非難を浴びたため、のちに姿勢を転換せざるを得なくなったのだ」


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