「デジタル技術」よりも大切なものとは何か?
さらに「人生相談」、「歌」「踊り」「講演会」といろんなコンテンツをやってきたが、夏休みに入ると日本の高校や大学の部活の代表者たちにKISEKIとコラボをするイベントを提案した。ルワンダのシングルママたちはいつもグループ内で歌ったり踊ったりすることを日本の学生たちと一緒にお祭り感覚でやってみようと言うことになった。
そこで立ち上がったシングルマザーたちは思い思いのデザインの服を見にまとい日本の高校生相手にアフリカンダンスを披露したのである。一言でいえばアフリカンダンスといってもルワンダの村で打楽器を打ち鳴らしながらダンスをするだけなのだが生まれながらのリズム感が素晴らしいので周りにいる人たちが一緒に踊りだすのである。
zoomで繋がった日本の高校生たちにとってみると大変ユニークで楽しいイベントになったのである。一方のルワンダのママたちは、日本の高校生たちのブラスバンドに対して、初めはビデオを流していると思っていたのだが実はシングルマザーたちのためだけの生バンドであることに気が付いてからは興奮が頂点に到達して異常な盛り上がりとなったのである。
デジタル技術を駆使して、世界と繋がって楽しむことが新しい「ルワンダの奇跡」なのだがもっと大切なことは普段からの人と人の関係性ではなかろうか?美緒さんの生き様は世界のサイクラーであり、地域密着型のビジネス志向であり、自然体で友人たちを繋ぎとめる熱意と志である。
今回の新型コロナ禍で新しいボランティアの形が見えてきた
日本の政府間援助プログラムもそれなりに機能しているが一般の庶民が潤うまでに時間がかかりすぎる側面がある。特に日本のJICAベースのODAプログラムはTICAD7の声明に基づいて粛々と進められているが経済的な支援よりも教育や技術支援が中心であるため時間がかかるのは仕方のないことである。
こんな調子で色々なボランティアのイベントにチャレンジしているが従来型ではなく新しい形の地に足のついたボランティアがKISEKIの持ち味になってきた。必死で手当たり次第に思いついたアイデアをすべて実行に移しているともいえる。日本の受け入れる側からすると煽られながらも楽しいのでリピーターが増えてきた。
休日返上でzoomを利用したイベントや講演会やセミナーが過去100日で80回も実行された。民間ベースでアフリカを助けたいと言う正式な支援団体や若者たちもたくさんいるが、腰を据えて長年にわたり現地に溶け込まないと本当のボランティアにならないという意見もよく聞く。しかし今のKISEKIにはそんな話に耳を貸す余裕はない。唯ひたすら知り合った人々にお願いしながら今を大事にしながら実行あるのみなのだ。これはコロナ時代のデジタル環境だからこそ実践できているのだろう。
さて、アフターコロナはどうなっていくのだろうか?
日本でも早や、半年以上のコロナ禍への対応を続けているが我々の生活は「コロナ疲れ」と「コロナ慣れ」が共存し始めている。
そんな環境から知らず知らずに「デジタル技術」「グローバル化」「ダイバーシティー」(多様性)が世界を変えてゆくのではないだろうか?
「グローバル化」と「ダイバーシティー」がさらにスピードアップしていくデジタル技術にどのように関わるのかを深堀していきたいと思っている。
さて次回のパート3では美緒さんはまたまた新たな試練に巻き込まれていく。思いもよらない事件が次々に襲い掛かってくるのだが、そこで山田美緒さんは重大な決断を迫られることになる展開に迫っていきたい。
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