2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月25日

 この論説でリー氏が指摘している通り、日米韓の連携強化は、中国の台頭への対応という重要な意味を持っています。すなわち、日米韓の連携強化は、米国の「アジア回帰」戦略と整合的、あるいは、その一部をなすと言うべきものです。論説は、それについて、ISR能力の面から指摘していることになります。

 韓国の中国への警戒心は、かなり高まっているようです。例えば、韓国は、済州島に海軍の拠点を建設していますが、その意図の一つとして、離於島(蘇岩礁)の領有権を争っている中国への牽制があるとされています。また、韓国海軍によるマラッカ海峡などのシーレーン防衛も念頭にあるようです。そうであるならば、日米韓は、海洋安全保障の分野でも強力に連携できるということです。その際にも韓国のISR能力向上は重要です。

 日米韓は、地域の安全保障環境と戦略目標について、綿密な協議を重ねるとともに、合同軍事演習の実施などを通じて、共通認識を確立していく必要があります。そのような実績を重ねていくうちに、客観的な戦略的必要性が、日韓間の感情的な反発を凌駕していくものと思われます。そうした意味からも、本論説のような論調は、大いに歓迎すべきことと言えるでしょう。

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