2024年7月16日(火)

From LA

2020年9月29日

 米国でマイナンバーに相当するのが社会保障番号だが、日本がお手本としたはずの米国ではこの社会保障番号カードは紙のカードで、写真も貼付されていない。電話や公共サービスの申し込み、免許証の申請、納税などに広くこの番号が求められるが、口頭で番号を伝える、あるいは申請書類に書き込むだけで、追加のIDは全く必要ではない。

 それゆえにID詐欺などが多発する、という事実はあるのだが、日本のやり方はあまりにも国民を子供扱いした煩雑な制度だと感じざるを得ないのだ。

 米国でも個人のIDをデジタル化する動きはある。しかしそれは社会保障番号をプラスチック化するのではなく、州単位のIDや免許証という形で実施されている。例えばカリフォルニア州ではこの10月から免許証が申請すればデジタル化される。従来の免許証と見た目は変わらないが、デジタル化免許証にはチップが組み込まれており、個人情報が登録される。免許証を持たない人のためには、州が発行するIDカードもある。

 実は来年から米国では航空機に乗り込む際に、デジタル化されていない免許証は身分証明として使えなくなる。今後はデジタル化IDもしくはパスポートなどを提示することが求められるのだ。将来的にはこのデジタル化免許証やIDをスマホアプリにする計画もあり、スマホで個人を証明できることになる。

マイナンバーカードを申請しても
入手するまでになぜ1カ月もかかるのか

 日本でも健康保険証をマイナンバーカードに組み込む、という計画もあるようだが、今の日本政府の対応では実現までに何年かかるか分からない。そもそもマイナンバーカードを申請しても入手するまでになぜ1カ月もかかるのか、戸籍制度がある割には確認作業に時間がかかりすぎだと思う。

 デジタル化は今後の社会にとって必要不可欠のもので、政府がこの省庁にまたがる煩雑さを取り除き、1つの機関にイニシアチブを持たせる、という考えは決して悪くない。しかしデジタル化の肝になる存在のマイナンバーカードがこれほど使えない現状をまず何とかし、政府が提供するアプリをもっと使いやすくすることからまず始めてもらいたい、と願う。

  
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