カリフォルニア州のコロナウィルス罹患数は依然として米国でトップ、その累計は8月23日現在で66万7140人、うちロサンゼルス郡が23万1695人となっている。ロサンゼルスでは1日平均で2000~3000人ペースの増加が続いている。
この状況の中、今カリフォルニア州から離れて他州に移住する人が増えている、という。子供を持つ世帯ではいつまで学校閉鎖が続くのか分からない、子供の教育面から他州できちんと学校に通える環境を与えたい、という理由が多い。さらに仕事を失い、生活費が比較的高い同州からより安い地域へ、というのも大きな動機だ。一方で、コロナウィルス対策に不満を持つ富裕層の流出も増えているとされる。
筆者の友人夫婦も最近テネシー州への移住を決めた。彼らによると「ここにいても外食もできない(一部レストランでは屋外に限定してのサービスも行っているが、基本はテイクアウトやデリバリーが中心)、映画も見られない、ショッピングもできない」という。テネシーでは普通にレストランで食事が出来、小売店も開いている。しかも住宅価格は同程度の物件でカリフォルニアの半分以下だという。
しかも彼らは当初、今住んでいる家は賃貸に出し、テネシーでの生活が不満ならば戻ってくる、としていたが、住宅も売却することに決めた、という。理由は「来年以降カリフォルニアの住宅市場が暴落する可能性がある」ためだ。
その傾向はすでに賃貸価格で見られ始めている。今年6月の不動産統計によると、カリフォルニア全体で賃貸価格の下落が始まっている。最も下落幅が大きい全米の都市25のうち、カリフォルニア州の都市が5つもランクインしているのだ。
カリフォルニア州で最も賃貸下落幅が大きいのはウエスト・サクラメントで、44%の下落。1ベッドルーム(1LDK)の平均賃貸価格は昨年から1628ドル下がり、2115ドルとなった。
サンフランシスコの北にあるサンタ・ローザでは19%、サーフィンの街として名高いロサンゼルスの南、オレンジ郡ハンティントン・ビーチでは22%、UCバークレーで有名なバークレーも22%、そしてサンディエゴの北のオーシャンサイドでは26%、それぞれ下落した。ただしこれだけ下落しても1ベッドルームの賃貸価格はまだ2000ドルを超えている。
そもそもカリフォルニア州の賃貸価格は今や全米1位である。Zumper社の不動産情報によると、全米で平均賃貸の高い都市トップ10は
- サンフランシスコ 3,500ドル
- ニューヨーク 3,000ドル
- ボストン 2,590ドル
- オークランド 2,500ドル
- サンノゼ 2,450ドル
- ロサンゼルス 2,260ドル
- ワシントンDC 2,260ドル
- シアトル 1,890ドル
- サンディエゴ 1,790ドル
- マイアミ 1,800ドル
で、カリフォルニア州の都市が5つもランクインしている。特にサンフランシスコ、オークランド、サンノゼはシリコンバレー周辺だ。シリコンバレーの発展に伴い高給の人々が多く集まったことが周辺の賃貸価格を引き上げ、それがロサンゼルスにも波及した、と言われる。