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2020年7月10日

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(Antonina Owen/gettyimages)

 トランプ現大統領対バイデン元副大統領の一騎打ちとなりそうな今年の大統領選挙だが、老老選挙の上「どちらもどちら」と国民の反応は鈍い。世論調査ではバイデン氏が大きくリードしているものの、得票数の多いほうが負けることもある米国の選挙だけに、まだまだ先の見通しが立たない状況だ。

 しかしここに来て「肝心の選挙当日に候補者がいなくなるかも」というとんでもない予想まで出てきた。米 POLITICO 社のウェブニュースによると、「トランプ脱落、バイデン病気、ペンスは馘首」で候補者のいない選挙も視野に入る、というのだ。

 どういうことか。まず、トランプ氏の性格について「負けず嫌い、対面を重んじる」と分析。そのため今後ますます世論調査での支持率の差が開き、負け戦が確定した時点で立候補を取りやめ4年間の任期満了を持って政界から身を引く可能性がある。実際にPOLITICO社がインタビューを行った戦略分析家や「トランプ氏と親しい」関係にある人々の多くがこの可能性を「非常にありえる」と語っている、という。

 言い訳は山程ある。例えば新型コロナが収束しない場合、今年の選挙には郵送による投票が見込まれている。しかし郵送となると投票率が上がる可能性があり、コアな支持者が命綱のトランプ氏にとっては不利となる。トランプ氏は「郵送による投票は不正の温床となる可能性がある」と反対の姿勢をとっているが、これが聞き入れられなければ「アンフェアな選挙戦を継続できない」と撤退する可能性がある。

 ビジネスマンとしてのトランプ氏はこれまで数々の破産宣言を行い、引責を逃れてきたが、現在国際情勢、新型コロナ対応などで批判が集中していることに対しても同じことを行う、つまり責任逃れのために投げ出すことはおおいに予想できるのだという。

 そうなると共和党は急遽候補者を立てる必要があるが、それに最も近い場所にいるのが現副大統領のペンス氏だ。しかし疑り深いことでも有名なトランプ氏、もしペンス氏に交替していきなり共和党の支持率が上がる事態は避けたい。そのため自分が選挙撤退を決めると同時に副大統領を解任する可能性も指摘されている。正副大統領が実質不在という異常な状況の中で、共和党は嘲笑を浴びながら次の候補を探さなくてはならない。

 また、選挙戦を続けるにしても、人種差別への抗議行動という背景を踏まえ、民主党のように「黒人もしくは女性」の副大統領候補を立てることの方が有利、となればトランプ氏はあっさりとペンス氏を切り捨てるだろう、という予測もある。今さらそんなことをしても手遅れ、という意見はあるが、利用できるものは何でも利用するのがトランプ流だ。

 一方のバイデン氏。ネックとなるのは77歳という年齢と、失言癖。元々失言の多い人物として知られるが、高齢のこともあり、なんと米国人の4割が「バイデン氏にはなんらかの認知症の兆候があるのでは」という疑いをもっている、という。そもそももし当選した場合、大統領就任時の年齢は78歳で史上最高齢となる。米国人男性の平均寿命は78.5歳なので、任期を「普通に」全うできるのか、という不安がついてまわる。

 そしてこれはトランプ、バイデン両氏に言えることだが、もしこの先2人が新型コロナに感染することがあれば、高齢者は重症化しやすく死亡率が高いことも考えると、非常にリスクが高い。人と触れ合う可能性が高い大統領という職業は、ブラジルのボルソナーロ大統領が感染したことを見ても、通常より感染リスクは高いと言える。今後の選挙戦で集会を行う必要もあり、その過程で思わぬ悲劇に見舞われない、とは言い切れない。

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