2024年12月9日(月)

From LA

2020年7月12日

(gyro/gettyimages)

 現在日本政府はほとんどの外国人に対し入国拒否の姿勢をとっている。オーストラリア、ニュージーランド、台湾、韓国、ベトナム、タイなどに対してはビジネス客を対象に一部制限緩和も考慮されているようだが、日本が課す敷居は非常に高い。

 もう一つ問題なのが、帰国する邦人に対しても現時点で「空港でのPCR検査」「公共交通の利用禁止」「二週間の自主隔離」が義務付けられている。これにより帰国したくても帰国できない、帰国難民が増えている。

 米国からはまだ毎日航空機が飛んでいるだけでも恵まれているかもしれない。しかし米系3社と全日空(ANA)が飛んでいるのは成田か羽田のみ。唯一日本航空(JAL)が関西国際空港への直行便を飛ばしているが、2週間に1回である。

 つまり東京以外の地方出身者は帰国してPCR検査をクリアしても、最悪の場合空港から2週間出られないことになる。方法としては「近親者の送迎」「レンタカー」「送迎サービスハイヤー」「送迎付きホテル」の利用があるが、最初のものを除いてはすべて割高になる。送迎も例えば東北や四国、九州になるとほぼ不可能だろう。

 帰国者に対する政府の対応は軸がはっきりせず、行き当たりばったりの印象がある。新型コロナ流行の初期、武漢からのチャーター便を飛ばした際は政府が専用バスと宿泊施設を用意、2週間の隔離は無料で食事付きという待遇だった。一方でクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスからの下船者はその場で解散、公共交通で帰宅する人もいた。その後自宅に戻ってから発症する人もいたから、対応は杜撰だったと言える。

 その後、3月に学生の卒業旅行からクラスターが発生したことで政府の対応はやや厳しくなり、空港でのPCR検査の義務付けが始まったが、これも検査を受けながら結果を待たずに乗り継ぎ便で自宅に戻ってしまう人が出たこともあったという。そこから徐々に厳しくなり、現在のような2週間の自主隔離の義務付けとなった。

留学生の帰国問題をどうするか?

 米国では現在、企業の駐在員家族に対して帰国が奨励されている。企業の場合は費用負担などの問題はそれほどないだろう。

 問題なのは帰国命令が出た留学生だ。米政府がオンラインのみの授業を行う大学等に在籍する外国人学生に帰国命令を出し、違反すれば国外退去処分、という厳しい対応を打ち出したのが7月6日。それ以前から学生寮を退寮となり、住む場所がなくなった、などで帰国せざるを得ない学生も増えている。この夏、多くの日本人留学生が日本への一時帰国を余儀なくされそうだ。

 学生にとって、この2週間の自主隔離と公共交通機関の使用禁止は非常に手痛いものとなる。地方出身者にとっては尚更だ。彼らは帰りたくて帰るのではなく、米政府の指示に従っての帰国であり、日本政府として何らかの救済策を打ち出すべきではないか。


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