山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2020年10月3日

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 ルワンダKISEKIのzoom会議に参加した。今回は「一時閉店感謝祭」イベントである。前回の「重大な発表」会議の参加者は40人だったが今回の「閉店感謝祭」には60名の参加者に膨れ上がっていた。1万2000Kmも離れたルワンダと東京の間をzoomで繋いでテレワークでパーティーを行うとは昔なら考えられない話である。パーティーの様子は後ほど報告するが先にこれまでのコラムを見て戴きたい。

 パート1『ルワンダで何が起こったのか?』

 パート2『zoomでつながった日本の高校生とルワンダのシングルマザー』

 パート3『女性議員が世界で一番多い国ルワンダ』 

 パート①では2016年に山田ファミリーがルワンダに進出してKISEKIレストランを始めるが2020年になってコロナ禍で休業せざるを得なくなった。そこで従業員の雇用責任の問題が発生し女将の山田美緒さんの苦悩が始まった。

 パート②では従業員に給料を払い続けるためにZOOMを利用したテレワークビジネスを立ち上げた。好調に見えたがレストランとホテルの維持費が重くのしかかることが悩みだった。

 パート③ではKISEKIレストランもホテルも思い切って一旦閉鎖してZOOMのオンラインプログラムだけでサバイバルする決断をした。そしてパート④ではKISEKIのサポーターに声をかけて「閉店感謝祭」を行いNEW KISEKIとして再出発することにした。

KISEKIの皆さんと山田美織さん

KISEKIの閉店感謝祭イベント

 美緒さんからの「閉店ご挨拶」の後、ご主人の耕平さんはアメリカ出張中で現地からのコメントを出した。続いて元料理長の中村シェフの挨拶、谷口先生からはマッサージ教室の立上げ時代の苦労話、ユッシーからはふらりルワンダ旅の話とベビーシッターのアイデアの裏話、若いサポーターのMASAYA君とアフリカンツアーの中込さんは素晴らしいプレゼンを披露してくれた。

 第2部はインターンのなつみさんの司会でKISEKI HOTELツアーとインターンのマコさんの学びの体験報告が続いた。そして最後の第3部はシングルママのダンスショーと目の回るような楽しい2時間のイベントだった。若いサポーターの皆さんは素直にアフリカやルワンダを受入れるだけでなく、テレワークの未来を企画する柔軟な発想を披露してくれた。

 具体的には10月1日から始まったKISEKIの新学期プログラムは月曜日(語学とエクササイズ)火曜日(料理イベント)水曜日(学びの時間や人生相談)木曜日(ゆるっと会)金曜日(イベントデイ)の企画がぎっしり詰まっていた。KISEKIの未来は明るさと元気さでオンラインプログラムを継続してゆくことが再確認できた。

日本人の若者は新型コロナと闘う姿勢を持っている

 のびのびと発表する若者サポーターのプレゼンを聞いて驚いた。日本社会は少子高齢化社会や管理社会のために若者たちにとっては息の詰まるような構造社会である。そもそも税金も高いし社会保険制度も若者にとってはあまり機能していない。若い世代が空洞化している側面もある。お金がすべての拝金主義の社会にも見えるが今の日本で災害が起こった時には若者たちが一致団結して協力を惜しまないという国民性でもある。一旦、日本で新たな問題が発生して災害が起きたときの行動は素晴らしい結束力がある。例えば東日本大震災の時の若者たちの行動を見れば証明されたといっても過言ではない。そんな若者たちがKISEKIの未来を担っているのだ。

ルワンダ人の幸福度

 コロナ禍でレストランの仕事が閉鎖されてからは毎日ZOOMを4時から10時までつなぎっぱなしで、日本との連絡を取っている。

 ルワンダは山田美緒さんによると「男女格差が小さい国」で女性の進出は目覚ましく既にレポートしたように国会議員の数でも女性の方が多いということである。たくましく生きるということは皆が苦しくても笑って今は助け合いながら頑張るしいかないといった考え方を逆にルワンダのシングルママから勉強させられた。日本人インターンたちはボランティアしに来たのに逆に教えられることの方が多いと言っている。日本よりもルワンダ人の方が幸福かもしれないなというインターンもいるぐらいだ。

ルワンダ人の幸福度は世界のランキングで何番?

 2020年度の国連の幸福度ランキング調査で実はルワンダは世界156ヵ国中153位である。やっぱりそうだろうなとは薄々感じていたが何となく違和感があるのはなぜだろう? 全アフリカ諸国54か国の中でビジネスのしやすさは2020年版 Doing Business Rankによると堂々の第2位なのに幸福度では不名誉なことに153位なのだ。

 ルワンダより不幸せな国はアフガニスタン、南スーダン、ジンバブエ、というからかなり酷い結果だ。世界111か国を回った僕の経験からすると納得できないのでさらに調べてみた。国際幸福デーの2020年3月20日に国連の「持続可能開発ソリューションネットワーク」の発表データである。各国の世論調査をもとに以下の六つの要素をもとに算出された客観性のある数字を深堀してみた。

 ① 人口当たりのGDP、②社会支援の充実度 ③健康寿命 ④人生の選択の自由度 ⑤社会における寛容度 ⑥腐敗に関する認識度。

 下位の国家は内戦や紛争によって長期的な貧困に悩まされている国家である。その意味ではルワンダは25年前の大虐殺を経験しているし、他の要素も「やっぱりそうか」と納得している。

 しかし、我々の滞在中の現場感覚ではワースト4だと感じられないルワンダ人の笑い声や楽しく踊ったり歌ったりしている姿を見ていたために逆に日本人の方が不幸せな気がしてくる。

日本の幸せ度は世界で何番目?

 ちなみに日本の幸せ度ランキングは毎年下がり続けて2020年度は世界156カ国中62位になってしまった。要素ごとの世界順位では「人口当たりのGDP」は24位、「腐敗に対する認識度」は39位、「選択の自由度」は64位、「寛容度」は92位となっている。個人的には欧米中心の価値観で順位付けしているので客観性に欠けるきらいはあると思うが世界がそのように感じているのだから仕方がないともいえる。

 一般的には日本は先進国中で最も労働時間が長いと言われており、有給や育休の取得率も低く、労働環境に対する満足度は低いかもしれない。また依然として偏差値重視の教育が続き、売り手市場とはいえ高学歴者に有利な環境であることに変わりはないのが実体だ。我々は日常的にゆとりを感じながらも、充実した生活や娯楽を満喫する余裕が少ないのも事実である。私が一番気になるのは2012年に国連から発表されたときには156か国のうち44位だったが、毎年着実に下がり続けて今年2020年には62位になってしまったという事実である。

 残念なことだが先般体調不良で首相を辞任した安倍晋三氏が第二次安倍内閣を発足させたのが2012年だったが、アベノミクスを引っ提げて7年半の政権運営の努力が、なかなか評価されにくいのは国連からのこうした数字からも証明されるように日本人はやはり不幸であるという見方もできる。新たにスタートした菅内閣の政策に期待したい。

「今」を生きるルワンダ人

 ルワンダ人と我々の最大の相違点は「今を生きているルワンダ人」に対して「豊かで生命の危険のない日本人は取り越し苦労をしている」のではないだろうか? 何だかんだと言っても日本人社会にはセイフティーネットがあるがルワンダ人と比較すると「必要以上の不満や不安」が常に頭を支配している。別の言い方をすると「平和ボケの日本」と「心に傷を持つルワンダ」という言い方も出来る。つまり「今を生きる不幸」は「平和ボケの幸せ」よりも真剣に毎日を楽しまなければ損をするという切迫感があるのだと思う。

 日本人の幸福度について深堀するのは別の機会に譲るとして、今回問題にするのはルワンダの最も幸福ではない人々に精いっぱいのボランティアをしている山田一家のこだわりに注目したい。

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