立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2020年10月20日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

トランプはなぜ選ばれるのか?

 自由経済の資本主義社会では、階級や階層は決して固定されたものでなく、上下双方向の流動性を有しているはずだ。しかし、独裁者との癒着・結託を背景とするシステムは、特権階級の恒久的地位や利益を担保する一方、社会の下層や底辺が這い上がることを妨害し、格差を恒久的に固定しようとする。

 ワシントンのスワンプ(沼地)に棲息している政治家の一部がこのエスタブリッシュメントに所属しているだけに、真剣に庶民の利益などを考えたりはしない。「ドレイン・ザ・スワンプ」で沼の泥水を抜き取って、ワニやら蛭やら毒蛇やら露出させ、穢れを一掃しようとしたのは、外野からやってきたトランプだったのである。

 米国社会に必要なのは、エスタブリッシュメントの消滅ではない。社会の流動性であり、流動性を担保するルールであり、誰もがエスタブリッシュメント入りできる可能性であり、つまり、アメリカン・ドリームなのである。これがトランプが目指している「Make American Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国に )」である。

 多くの米国民がすでにこの本質を見抜いたならば、彼らは間違いなくトランプに1票を投じるだろう。国民の覚醒を妨害するためにも、多くの主流メディアはこぞってトランプを批判し、あたかもバイデン民主党が正義の味方であり、勝てるかのようなムードを作り上げる必要があった。洗脳工作は何も社会主義国家独裁政権の専売特許ではない。世界一とされる民主主義国家アメリカにも、存在しているし、時にはより巧妙な手口が使われているのである。

 「報道しない自由」も悪用されている。近日のバイデン家族にかかわるウクライナや中国関連の不正疑惑については、主流メディアはほとんど報道していない。フェイスブックやツイッターは10月14日、ニューヨーク・ポストの独占報道の拡散を制限する措置を講じた。ここまでくると、「報道しない自由」にとどまらず、すでに情報検閲の域に入っている。中国国内の情報統制とほとんど変わらないのではないかと在米華人が驚きを隠せない。

 バイデン家族の不正疑惑について、さらに不可解な点が残る。ニューヨーク・ポストによると、2019年4月にデラウェア州のパソコン修理店に何者かがパソコンを持ち込み、修理を依頼したが、受け取りに来なかった。修理店のオーナーは、復元したデータからバイデンの息子ハンターに係わる疑惑のメールや写真・動画を見つけ、FBIに通報したという。しかし、19年12月にパソコンを押収したFBIは、これだけ重大な事件にもかかわらず、6カ月以上経っても捜査に乗り出さなかった。FBIの沈黙は何を意味するか。もしやFBIないし米司法省までインナーサークルにかかわっているのではないかという疑惑も浮上する。

 スワンプ(沼地)がどこまで広がってどれだけ深いのか。インナーサークルの外野からやってきたトランプ大統領でなければ、すべてが黙殺される。ワシントンやウォール街のエスタブリッシュメントのやりたい放題を引き続き許していいのか。米国人の生き方が問われようとしている。

 米ドル札の裏には、「In God We Trust」という文字が刷り込まれている。「我々は神を信じる」という米国民は、神に見捨てられまい。God Bless America!

(Andrii Zorii/gettyimages)

  
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