赤坂英一の野球丸

2020年11月4日

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守備に〝見えない穴〟

 打撃重視、というより打撃偏重のラミレス監督の方針は、守備に〝見えない穴〟を生むことにもつながった。例えば中軸打者のネフタリ・ソトは今季、一塁を60試合、二塁を54試合、外野を20試合守っている(10月30日時点)。今季は当初、一塁に固定する方針だったが、新外国人タイラー・オースティンが故障がちなこと、ソト本人が打撃に好影響があるという理由で希望したことなどから、二塁での出場が増えたという。

 この「二塁・ソト」が巨人にとっては付け目だったらしい。あるチーム関係者が、キャンプのころからこう指摘しているのだ。

 「ソトがセカンドにいたらゲッツーを取られないで済むケースが高いんです。広島・菊池(涼介)のような上手いセカンドならダブルプレーを取れるタイミングでも、ソトは打者走者を一塁でセーフにしてしまう。そこからチャンスがつながり、得点に結びつけられるケースも多い」

 昨季まで2年連続本塁打王で、今年も3年連続20本以上打っている長距離砲が、守備ではしばしば味方バッテリーの足を引っ張っていたわけだ。こういう〝見えない穴〟もまた、巨人に水を空けられる要因のひとつになっていたのである。

 そうした最中、DeNAの失速を決定づけたのは、9月1日からの東京ドームでの巨人3連戦で、ラミレス監督が断行した〝奇策〟の数々だ。先発2連勝中の新外国人マイケル・ピープルズを突然中継ぎに回し、3戦目には中継ぎのスペンサー・パットンを来日4年目で初の先発に指名。そのパットンが二回途中で9失点と炎上するや、ラミレス監督はピープルズ、〝元守護神〟山﨑康晃をビハインドの展開で次々にマウンドへ送った。

 最後には、山﨑に代わるクローザーを務めていた三嶋一輝をも事実上の敗戦処理として起用。この采配には東京ドームのスタンドもどよめいて、DeNAファンから「ラミレス! どうなってんだよ!」と怒声があがったほど。巨人OBの上原浩治氏もツイッターで「DeNAファンがどう思い、どう感じてるんだろうか」と疑問を呈し、大きな波紋を広げている。

 首位・巨人に5.5ゲーム差で迎えたこの3連戦、DeNAが3連勝すれば2.5ゲーム差に詰め寄り、優勝争いにとどまれる最後のチャンスだった。が、結果は逆に3連敗して首位戦線から完全に脱落してしまった。

 ラミレス監督の投手起用には以前から疑問や批判の声が多い。とくに、この3連敗にはDeNAのOB評論家にも厳しく糾弾された。

 「あの3連敗で巨人は〝今季のDeNAは終わった〟と思ったはず。DeNAの選手もかなりガックリきていたようです。ラミレス監督は投手の使い方がうまくないとわかってはいても、最後の勝負どころで選手が〝はあ?〟と思うような采配をやっちゃいけないよ」

 こうして、7月までは巨人の対抗馬だったDeNAは、9月に完璧に突き放され、最後は馬ならぬカモになってしまったのだ。

 とはいえ、佐野をはじめとする数々の有望な若手打者の才能を見抜き、一人前に育てたのは、紛れもなくラミレス監督の功績である。後任には三浦大輔二軍監督が昇格すると言われる来季、今度こそ巨人からペナントを奪取できるか。そのためにどこまで機動力や守備力を強化できるか。新たに招聘されるコーチの人選も含めて注目していきたい。

  
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