実習生よりも負担の大きい留学生
ただし、留学生となると実習生以上に費用の負担が大きい。その額は留学斡旋業者への手数料に加え、留学先となる日本語学校への学費の支払いで、150万円前後にも上る。
留学希望者も実習生と同様、たいていは貧しい若者たちだ。留学費用は、実習生の手数料と同じく借金に頼ることになる。
コロナ禍の前であれば、日本語の不自由な留学生にもアルバイトは簡単に見つかった。とりわけ夜勤の肉体労働は人手不足が深刻で、アルバイトをかけ持ち、月20万円以上の収入を得る者もいた。かけ持ちすれば、「週28時間以内」の法定上限を超えてしまう。しかし借金返済と学費の支払いのため、留学生の違法就労は当たり前のように横行していた。
だが、新型コロナで状況は大きく変わった。留学生が多く働く飲食業では、閉店や時短営業が続出している。また、コンビニなどの人手不足も急速に解消しつつある。そのためアルバイトを失い、苦しい生活に陥る留学生は少なくない。
そうした留学生の困窮を伝える報道は、最近になって新聞やテレビで目立っている。しかし、そもそも日本の留学ビザは、アルバイトなしで留学生活を送れるだけの経済力のある外国人に限って発給されるはずなのだ。アルバイトがなくなった途端、学費が払えなくなったり、困窮するような留学生が受け入れられていること自体がおかしい。しかし、なぜか大手メディアは、その点には全く触れようとはしない。
実は、留学生にはメディアが取り上げない「不都合な真実」が存在する。ベトナムなどアジア新興国から出稼ぎ目的で来日する留学生たちは、捏造書類を用いてビザを取得しているのだ。現地の留学斡旋業者経由で行政機関や金融機関の担当者に賄賂を渡し、親の年収や預金残高が改ざんされた証明書を発行してもらう。そうやって経済力があるよう見せかけて取得したビザで入国する。
新興国の庶民としては有り得ない金額の年収などが載っているのだから、日本側で書類を審査する法務省入管当局、在外公館、また留学先の日本語学校にしろ、書類の捏造を見破るのは難しくない。しかし、書類を厳格に審査すれば、留学生は増えない。政府が進めている「留学生30万人計画」も達成できなかった。そこで政府は捏造を黙認し、出稼ぎ目的の留学生までも受け入れ続けた。彼らを底辺労働者として利用し、日本語学校、さらには日本人の少子化で経営難に陥った専門学校や大学の学費収入を増やすためである。
来日時の書類捏造は、多くの実習生にも共通する。実習生には、母国で就いていたのと同じ仕事を日本でやり、帰国後は復職するとの規定がある。実習に応募する際には、母国での職歴を書いた履歴書も提出しなければならない。
だが、ベトナム人の実習希望者は多くが農家の出身で、農業以外に仕事をした経験はない。そのため送り出し機関を通じ、履歴書を捏造する。たとえば、建設業の会社で実習生となる場合、ベトナムでも同様の仕事に就いていたように履歴書をでっち上げるのだ。