2024年5月5日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月15日

 続いて開催されたARFの議長声明では、関係各国の南シナ海での「自制」を求めるとされましたが、行動規範については何の言及もなされませんでした。

 ASEANが南シナ海問題について共通の対中政策を取れるとは考えない方が良いかもしれません。

 2015年にASEAN共同体を作るとの目標が立てられていますが、この社説が言うように、ASEAN共同体結成も、南シナ海で対中共同政策を取れない以上、共通安全保障政策は取れず、統合は進めにくくなるでしょう。

 日本は、南シナ海に、航行の自由という直接の利害関係を持つ他、中国の海洋進出に出来るだけ歯止めをかけておくことにも利害関係を持ちます。第1列島線内の海洋支配を中国に当然視させないことが必要です。航行の自由についても、平和時、有事その他、色々な局面で違った様相になる可能性があります。

 ASEANが、全体としてはあまり頼りにならないことは認識しつつも、日本にとり好ましい方向に動くようにもって行く努力をする必要があります。また、米国とこの問題にどう取り組んで行くのか、話し合う必要があります。南シナ海問題は、その広がりを考えると、ASEANだけの問題ではないということです。

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