頻度の高い補償
香港はこの1年間で財政予算案による支出と4回にわたる補償を行った。5回合計で約3200億香港ドル(4兆3000億円)にも上る。
4回目は2020年12月21日に立法会財務委員会で決まったばかり。2021年1月から実施されているのだが、飲食、衛生、娯楽、教育、文化・スポーツ・芸術など細かく分野を分けている。
飲食で比べてみたい。日本は緊急事態宣言中、休業要請に応じた店には一律で1日あたり6万円の支給となっている。香港は「100平方メートル以下、100平方メートルから200平方メートルまで、700平方メートル以上など5つの大きさに分け、その大きさに分けて10万~50万香港ドル(140万~680万円)が支給される。日本は店の大きさはわかっているのだから、一律ではなくもう少し細かくやることが、コロナ倒産を防ぐことになるはずだ。
ミニロックダウン+PCR検査
欧米などのロックダウン(都市封鎖)をすることで感染拡大を防ごうとしているが、香港は2021年1月23日午前4時から25日午前3時過ぎまで、佐敦(Jordan)という地区限定でロックダウンを行い、そこの住人に強制PCR検査を実施した。当該地域でクラスターが発生したためだ。
実行するにあたり香港政府は3000人を動員して51カ所のテントを組み立てて、そこで検体を採取する場所を設置。1軒1軒担当者が家を訪れて、何時に何番のテントで検査を受けてくださいというのを伝達。住民は解除されるまで封鎖線から出られないため、政府から食料などの必要物資を受け取り、検査結果を待つ(封鎖中でも検査結果が陰性であればロックダウンエリアから出られる場合もあり)。その結果、3650世帯7000人を一気に検査して13人に新規陽性者を見つけた。
これを皮切りに、地域ではなくマンションだけ封鎖など、さらにポイントを絞ったロックダウン+強制PCR検査を10日間のうち8カ所で実施。隠れ陽性者のあぶり出しに成功している。これはいつでもPCR検査を行える処理能力があってこそできるもの。日本も民間企業が提供するPCR検査を格安で受けられるようになったが、政府主導による検査能力拡充が実現できれば、もっと幅広い防疫対策ができるはずだ。
「コロナ慣れ」、「コロナ疲れ」という言葉があるが、ワクチンの接種が始まったとしても、すぐ終わるわけではない。国内がOKでも海外で感染拡大が続けば全く意味をなさないからだ。まして新興国へのワクチン接種が遅れるのであればなおさらだ。本当の意味での収束はまだ先になることを想定して、対策打つ覚悟を持ったほうがいいと感じている。
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