10月11~14日、中国・上海で楽器の展示会「ミュージックチャイナ2012」が開催される。米国の音楽貿易誌の調べによると、中国の楽器販売市場グローバルシェアは、米国、日本、ドイツに次いで第4位にまで成長している。展示会も毎年規模を拡大しており、昨年は約1500社が参加し、5万人を超える来場者があったという。
“Yanagisawa”のサクソフォーンを手にする柳澤信成社長 (撮影:WEDGE編集部)
日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けてこの展示会に、日本の中小楽器メーカー28社(団体含む)がはじめて参加する。
日本の楽器製品は、楽器はもちろんメトロノームや楽器ケースなど、品質の良さで高く評価されている。ただ、中国ではこうした日本の楽器製品がコピーされている。取り締まりをしたくても、日本の楽器メーカーの多くが中小企業であるため、人も費用もなく、手の出しようがない。
楽器は嗜好品のため、良いものを知ってもらえればお金をかけてもらえる。展示会へ出品して「本物の良さ」を中国人に知ってもらおうというのが、今回の狙いの一つだ。加えて、現地代理店とのマッチングも行い、販路の拡大も目指している。
日本の管楽器製造のパイオニア
展示会に参加する楽器メーカーの仕切り役を担っているのが、東京都板橋区小豆沢にある柳澤管楽器社長の柳澤信成氏(60歳)。従業員89名の小所帯だが、仏・セルマー、ヤマハと並び、世界3大サクソフォーンメーカーの一つに数えられる。
日本最大の楽器販売店・黒澤楽器店(東京都新宿区)サクソフォン・ラボ責任者の沖田明也氏によれば「柳澤は、ハンドメイド色が強いところに特長があります。他社の量産品に比べると音の抑揚など表現力が高く、実際に店頭で試し吹きなどすると、良さを実感できるブランドです」という。