“目には目を”
同組織「世界ウイグル会議」のリーダー、ラビア・カーディル氏は都の尖閣購入資金として10万円を寄付。同筋は「日本の右翼と新疆の独立主義者が連携している」「日本は対中政策を(敵対的な方向へ)変更するのか」と懸念を示していた。
今回の中国の全面的な対抗措置は、尖閣だけでなく民主党政権の対中政策全体について「日本が敵対するなら、われわれも」という“目には目を”の強いシグナルと読むべきかも知れない。
さらに中国の強硬姿勢の中にくっきりと浮かび上がってくるのは、軍部や国家海洋局を中心とするタカ派の存在である。
中国は尖閣奪還へ準備
中国は1992年に尖閣を中国領と明記した領海法を制定、98年国家海洋局を設置、2006年同局傘下の海監の監視船による尖閣付近のルーティン・パトロールを制度化、08年監視船による長時間の尖閣領海侵犯――など、国力をつけるにつれて、将来の「尖閣奪還」への準備を進めている。
海監東シナ海総隊の責任者は、尖閣付近でのパトロール強化について「日本の官民の実効支配強化に向けた策謀に対抗」「日本の長期実効支配による時効窃取の阻止」という2つの理由を挙げた。
後者の理由をみれば、日本の態度がどうであれ、実効支配を続ける限り、常に中国側は尖閣パトロールで揺さぶりを掛けてくる可能性があった。
反転攻勢のチャンス
日本の国有化によって、国家海洋局は日本の実効支配を脅かす尖閣パトロールをこれまで以上に公然と活発化できる大義名分を得た。中国のタカ派はこれを「反転攻勢」に向けたチャンスと受け止めているのかも知れない。
中国の監視船は国有化以来、9月14、18、24日、10月2、3日と頻繁に尖閣領海を侵犯し、10月に入って9日連続で尖閣の接続水域に侵入した。9月下旬には、台湾の漁船約40隻と海岸巡防署の巡視船12隻が尖閣の領海に一時侵入し、海上保安庁と台湾の巡視船の間で“放水合戦”も起きた。
国有化以来、日本の実効支配はこれまで以上に脅かされている。1978年に中国漁船100隻以上が尖閣に殺到して以来の危機的な状況だ。