日韓双方に対し中立的かつ高踏的であればある程、日韓両国から拒絶される運命にあります。本小論に内在するこの本質的矛盾をチャのロジックは十分克服できていません。この小論は、竹島問題の解決を米国に頼ることが建設的でないことを、図らずも、逆説的に証明しているのではないでしょうか。
ただ、日韓関係の悪化が米国のアジア太平洋戦略に悪影響を及ぼすという、米国にある懸念自体は、間違ったものではありません。米国は、さしあたって、日米韓の連携強化を、実務者レベルや現場レベル中心に、粛々と主導して行くべきで、それが最も効果的と思われます。米国政府の方針自体は、おおむね、そのようなものであるようです。
竹島問題の勃発後、韓国の主催により、釜山沖においてPSI(大量破壊兵器拡散阻止構想)の海上封鎖訓練が、日米豪韓によって実施されました。こうした実践の積み重ねは、戦略的に重要であるばかりではなく、日韓の歴史問題を全面的に解決してくれはしないにせよ、緩和してくれる効果が期待できるでしょう。
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