ジョージタウン大教授で戦略国際問題研究所(CSIS)朝鮮部長のVictor Chaが、9月11日付でPacific Forum CSISに「日韓関係:連携よりも対立か?」と題する小論を寄稿し、日韓両国は竹島問題について現状維持を図るべしと主張しています。
すなわち、欧州におけるドイツと同様、日韓間の歴史の憎悪は終わらず、解決は不能だ。真の問題は、この日韓間の憎悪が両国間の現実的な協力をどの程度阻害するかだ。
日韓のいずれか一方が歴史問題の現状を変更しようとすれば、それは、問題の解決でなく拡大に至る。したがって、避けるべきは現状変更だが、最近の日韓双方の動きは、従来の均衡を破壊するものだ。李明博韓国大統領の竹島上陸と韓国最高裁の慰安婦問題に関する判決だけでなく、日本の国会決議や慰安婦像撤去要求などは、いずれも典型的な現状変更要因だ。
歴史的憎悪の問題は、政治的正統性がない限り解決できない。今のドイツにはそのような正統性があるが、日韓には存在しない。日本側が過去について後悔を述べること、韓国側がそれを受け入れること、日韓両国ではこのいずれについても政治的正統性はない、と指摘しています。
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米国にとってアジア地域で最も重要な同盟国である日韓が竹島をめぐりギクシャクしている現状に関する、米国のアジア専門家の苦々しい思いが行間から滲み出てくるような小論です。
チャは、現状維持がベストであり、これを変更しようとする日韓双方の動きを厳しく批判しています。しかし、こういう説教じみたことは、一見もっともらしいのですが、所詮は、直接の当事者ではない米国のお気楽なロジックに過ぎないと受け取られることになりかねません。