したがって、早急にサイバー攻撃の脅威に対する関心を高め、サイバー攻撃に対応する戦略を考える必要がある、と述べています。
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クレピネヴィッチは3代の米国防長官に仕え、国防省の評価局に勤務した、国防戦略の専門家で、最近ではエアシーバトルを論じるなど、屈指の論客です。この報告書は、そのクレピネヴィッチが、サイバー戦争につき、包括的に論じたものであり、サイバー戦争を理解するうえで恰好の資料となっています。
サイバー兵器の特色は、それが、単なる悪戯やデータの取得から、コンピュータ、インフラ、国の主要施設のかく乱と対象が広く、相手に「壊滅的打撃」をも与えうるものであることであり、これまでの兵器の概念では説明できないことです。サイバー戦争は、国家安全保障にとって新たな脅威であることは間違いありませんが、サイバー能力自体、日々進歩を遂げているので、サイバー戦略は極めて複雑なものとなっています。
クレピネヴィッチが言うように、サイバー戦争につき理解を深め、サイバー戦略を真剣に考える必要があり、それが、サイバー戦争への対応の大前提となります。
その際、サイバー戦争は既存の国際法の枠に収まりきれないということに強く留意すべきです。「論理爆弾」の例からも明らかなように、攻撃への着手の時期からして曖昧です。サイバー戦争に関する国際法が整備されることは想定しがたく、国家による実行の積み重ねによる緩やかな規範(ソフト・ロー)を作りだしていくことになるでしょう。
我が国は、行動が既存の国際法に合致しているか否かに強くこだわり過ぎる傾向がありますが、サイバー戦争に関しては、そういう態度は改めるべきで、同盟国・友好国とともに行動規範を創出していくことが肝要です。
また、防御を理解するためにも、攻撃の研究を積極的に推進する必要があると思われます。
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