今後の中国の戦略は次の3つの戦術をミックスさせた形で進められるだろう。1つ目は、日本の経済に対する圧力をさらに強めていくこと。2つ目は、国際社会への活発な宣伝攻勢によって日本を国際的に孤立させること。3つ目は、軍事力も含めた対日心理戦の発動である。
まず中国国内では、一段と“対日経済制裁”を強めるだろう。すでに日本からの輸入品への関税検査を強化し通関手続きに遅れが出ている。
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さらに、反日デモが日本企業に勤める中国人従業員の賃上げストライキと全国的な規模で合流すると、事態はさらに深刻さを増す。すでに、9月16日に起きた深圳(しんせん)での暴動においても、反日デモが日本企業での賃上げストと合流したことが報じられている。
これはまさに、満州事変が起きる前の「日支協調」が定着していた1920~1930年代に中国へ進出していた日本企業などで起きた現象である。しかも、今日分かってきたのだが、当時、勃興しつつあった中国の紡績関係の企業がライバルの日本企業に反日デモや従業員のストライキを仕掛けたこともあったという。有名な25年の5・30事件(上海の日本企業でのストライキに端を発し、反日デモに対して租界警察が発砲して、学生、労働者に死者、負傷者が出た事件)のパターンである。
こうした「反日の嵐」が10年以上にわたって中国全土でくり返された。このことが、満州事変や日中戦争の大きな背景要因だったのである。
中国でくり返される「反日の嵐」
中国の政治文化や国民性として、こうしたパターンがくり返されることは、いわば一種の宿命とさえ言えよう。したがってそれは、今後も多かれ少なかれ続くであろう。それ故、日本の経済人は、もっと歴史から学ばなければならなかったのだが、「日本の侵略に全ての原因があった」とする戦後の自虐的な歴史観によって、かつての反日暴動の実態などの重要な歴史的事実が現在まで昭和史を扱う歴史書では語られてこなかったのである。
勿論過度に単純化はできないとしても、国と国の構図は歴史の中で繰り返されるものであり、果たしてそれを理解した上での日中友好であり中国進出であったのか、遅まきながら、かつてなく掘り下げた検証が必要だ。
次に中国は、国連や国際世論、国際法を利用して国際社会への宣伝攻勢をさらに強化していくであろう。