オバマ大統領顧問の「投票率選挙」宣言
筆者があるオバマ陣営幹部と話したところによれば、オバマ陣営は今回の選挙を「決めかねている投票者」があまりいない、つまり「分極化した選挙」だと分析している。共和党がライアンを選んだことは、決して衝動的な決断ではなく周到に考え抜かれた判断であり、その狙いは共和党の基礎票を活性化して投票率を上げることだったと見ている。
この陣営幹部の見立ては、シャーロットの全国党大会でピート・ラウス大統領顧問が語っていた路線とも符号する。ラウスは全国党大会で次のように語っていた。オバマ陣営が強調したい成果は、以下のラウスの言葉に凝縮されている。
「(2008年にオバマが示した)ホープやチェンジはいったどうなったのかという質問に私が答えるとすれば、それは中間層減税から始まるし、医療保険の中にあるし、保険会社への締め付けにあると言えます。大恐慌以来最も厳しい金融規制の中にあるし、クレジットカード会社規制、自動車産業と140万の雇用を守ったこと。エネルギー効率を高め、クリーンなエネルギーに注力し、イラクから撤退し、アルカイダの力を弱めた。最高裁に最初のヒスパニック系の判事を指名した。司法省はアリゾナの移民法に挑戦した。中からなにかを変えようというとき、それはすべてが満足にはいきません。しかし、劇的な進歩だと言えます」
ラウスは、「様々な世論調査を見ていて思うのは、ロムニー氏を支持するのはおおよそ3分の1の人々だ。そしてそのほぼ6割が反オバマに傾いている」として、ロムニー陣営が考えているのも基礎票戦略だと見る。
オバマ陣営は2004年に民主党ケリー候補が抑えた州に加えて、ニューメキシコ州を獲得できる基礎的な地域だと考え、残るは選挙人にして100あまりの8州、ネバダ、コロラド、アイオワ、オハイオ、フロリダ、ノースカロライナ、ヴァージニア、ニューハンプシャーが重要だが、これらの州の過半でリードしていると読む。動員注力対象は、アフリカ系、ヒスパニック系、同性愛者(LGBT)、退役軍人、女性、若年層などだが、中でも女性票が鍵を握る。
ラウスは2012年選挙を「投票率選挙」だと名付けた。投票率が上がり、基礎票の得票が確実だったほうが勝利に近くなる。選挙では常に重要なGOTVだが、大接戦2012年の動員作戦の意味はとりわけ大きい。GOTVは投票日当日まで展開される。
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