2022年12月9日(金)

MANGAの道は世界に通ず

2021年9月12日

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学的に立てる作戦

 さて、本作品の魅力は、そうしたマネジメント的な側面がありつつも、1番の醍醐味は、科学的に立てる作戦によってどのように相手を打ち負かしていくかだ。監督の圧倒的な戦略眼により、あっと言わせるような方法で相手を打ちのめし、それまでの積み重ねが報われる、スカッとするシーンが大変多い(現実には、そうここまでピタッと作戦がハマりきることも少ないとは思うが、デフォルメした表現としては秀逸である)。

 これを示す一番のクライマックスが、7巻に始まり12巻で終わる、歩木浜中とのエピソードだ。なんとこの監督、敵に塩を送るかのように、相手に有効な戦術を授けてしまう。それを「見本として自チームにそのまま取り入れさせ」「2倍以上の人数で実行し」「八方塞がりとなった相手を完膚なきままに叩きのめす」ことで、自チームの最短効率での育成に繋げたのだ。詳しくはぜひご覧いただければと思うが、まさに、戦略とは、戦を略することである。戦いが始まる前から、既に勝利が決まっている状態を作ることが、本当の戦略なのだ。

 根性論でなく、科学を学びながら、冷静に市場や競合を見渡して、用意周到な戦略を立て、組織の持つカードに落とし込んで徹底的にやる。あなたの会社や部署は、ここまで深掘りしてビジネスを進めることができているだろうか? 非常に、参考になる作品だ。なお、もう一つ推薦したいものとして、『アオアシ』(小林有吾、小学館)も大変オススメである。上述した神様のバレーの、「サッカー版」といっても過言ではない作品だ。現代風に、物凄くサッカーやチームというものが科学されており、エンタメ作品としても最高に面白い。

 ちなみにこの作者は、次に『フェルマーの料理』(講談社)という料理漫画も連載中だ。数学好きにはニヤリとしてしまうタイトルかと思うが、その名の通りで、スポーツを科学していったのが上記の漫画群だとすると、これは「料理」を科学するのがテーマの漫画である。普通に勉強になるし、作り手としても食べ手としてもプラスの知見が得られることだろう。とてもオススメである!

  
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