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2021年8月11日

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 日本人選手の活躍により開催前の批判を跳ね返す盛り上がりを見せた東京オリンピック。開催都市「東京」は、大会をアクセルに首都としての魅力向上のためにレガシーをどう活用するのか。元東京都副知事で、都市政策を研究する青山佾・明治大学名誉教授にインタビューした。

(Noppasin Wongchum/gettyimages)

 大会後の東京を大きく左右する課題は関係施設の後利用だ。中でも青山氏は晴海や有明といった臨海エリアに注目する。「臨海地域は、環状道路構造によるまちづくりの最後のワンピースとも言える場所。これは、大正時代に関東大震災からの復興のために後藤新平が掲げた計画に基づくもので、100年もの期間で都市構造が続くまちは世界的に見ても東京しかない」と意義を語る。

 中心地域から市街地、さらに関東圏の周辺都市に向かって放射状に道路が延びる都市構造は東京の特徴とも言える。地下鉄も合わせた充実した交通網は世界に誇れるものだと青山氏は主張する。実際に新型コロナウイルスという予期もしなかった非常事態に直面しても、物流が大きく障害を起こすことはなかった。

「五輪」キーワードに最先端集積の場を

あおやま・やすし 明治大学名誉教授。1943年生まれ。67年東京都庁経済局に入庁。高齢福祉部長、計画部長、政策報道室理事を歴任。99~2003年に石原慎太郎知事のもとで副知事。専門は自治体政策、都市政策、危機管理、日本史人物伝。

 この日本の特徴とも言える環状都市構造の一つの部分で、さらなるまちとしての特徴を出せる施設が、東京オリンピック・パラリンピックによって数多く新たに整備されたと言える。体操競技やトランポリンが行われた有明体操競技場、バレーボール会場の有明アリーナといったものだ。男女ともに日本が金メダルを獲得したスケートボードや自転車競技の会場として整備された有明アーバンスポーツパークは、大会のためだけの仮設ではあるものの、この場所が〝聖地〟となることも期待される。

 「カヌーやボートの海の森水上競技場は、中央防波堤を設置し、競技中に一定の水位を保つために締切提と水門を設置している。大きく予算もかけており、この土地をどう活用するかは政治的な課題にもなる」と青山氏は話す。 

 活用方法としては、アートやエンターテインメント、民間企業が持つ最新技術などを集積さる大きな実験場とすることを青山氏は提案する。「技術活用について、個別の課題を解決するのではなく、社会全体を変革させる方向に動くようになっている。施設単体として使うのではなく、まち全体として最先端が集まる場所とする必要がある。そのために『五輪会場だった場所』というのは、多くの人や企業を惹きつける大きな魔力となる」と強調する。

小池百合子都知事はリーダーシップをとれるのか

 こうした課題に対して、東京都のリーダーである小池百合子知事がしっかりと舵を取れるのか。気がかりなのは、五輪前に行われた都議選の結果だ。都知事就任とともに自らが結成した「都民ファーストの会」が前回選挙の45議席から31議席へと減らし、自民党に第一党を奪われている。

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