2025年4月2日(水)

オトナの教養 週末の一冊

2025年3月29日

 3月の下旬となり春もすぐ近くになってきた。卒業や入学、入社、 異動、定年など人々の生活が変わる時期である。世の中を見ると国内外とも政治や経済面で様々な動きが続いている。 春の新たな変化や挑戦という切り口でこの時期に読んでみたい3冊を紹介する。

(Irina Shilnikova/Azuki2021/gettyimages)

マンションの管理組合って何?

 まず一冊目は『タワマン理事長 ある電通マンの記録』(竹中信勝著、ワニブックス)である。元電通マンが自らの経験を踏まえてまとめた。

 4月の新年度始まりを受けて、マンション住まいの方で管理組合の理事長や役員に新たに就任する人もいらっしゃるだろう。 慣れない仕事を前に戸惑う向きも多いと思うが、そんな時に強い味方になってくれるのが本書である。管理組合が何をするのか、そのイメージがよくわかる。

 管理組合の役員の仕事は、端的に表現するとマンションの住民から寄せられる要望や相談を適切に処理する役回りである。本書で強調するのは、マンション管理で心すべきことは、管理会社任せにせず、管理組合が主導して行うことの重要性である。

マンションの運営を円滑に行うにあたり、住民の力だけですべてをまかなうには現実的に無理があります。そのため一般的に、外部の管理会社と契約を結ぶケースが一般的です。外部の管理会社は、日常の管理業務(清掃、修繕、会計業務など)を請け負ってくれますが、最終的な責任はあくまで管理組合にあります。

 マンション管理は、クレームや備品の購入に至るまであらゆる問題に直面する。本書では著者が多くの案件で奔走する様子が時にユーモアも交えてリアルに描かれる。

 そうした経験から認識したのが専門家の力を借りることの重要性だったという。著者は理事会の承認を得てマンション管理士事務所と契約し、管理会社の言いなりにならないように努めた。

マンション管理士が管理組合の目線に立って管理会社と交渉してくれるようになってから、多くの問題が相談で解決され理事長としてはとても気が楽になったものです。

 ネットに情報があふれる時代でありながら、タワーマンションや管理組合の仕事に関する情報はあまり出回っていないと著者は気づき、理事長になったのを機にブログを始めて情報を共有してきた。その記録が本書の基になっており、著者の奮闘ぶりを通じてタワマン理事長の仕事の様子をうかがうことができる。これから管理組合の役員を任される人にとっては、具体的なノウハウや対処方針を学べるよき指南書になっている。


新着記事

»もっと見る