2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月20日

 米中印の三角関係の中では、中国が優位にある。中国は、印米関係の深まりを阻止するために、インドとも米国とも関係を調整し得る立場にいる。この3国関係力学の方向性には不確実性がある。ただ一つ確実なことは、中印が海軍国として登場し、米国の海洋政策と相互に作用しながら、今後何十年もインド・太平洋の安全保障を動かすと言うことである、と論じています。

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 この論説は、インドの考え方を知る上で参考になります。インドは中国への対抗心があり、徐々に非同盟的メンタリティを克服し、民主主義という同じ価値観を共有する米国と協力する方向に進んでいると考えていましたが、インドには、米国に対する不信感があることが、この論説から読み取れます。

 米中が接近してインドが置き去りにされる可能性を懸念し、米中両国との関係を両立しておくようにインドは動いていると言うことですが、そういう姿勢こそ、中国に米印関係にくさびを打ち込む余地を与え、3国関係で中国を優位に立たせることにつながるのではないかと思われます。

 インドがこういう考え方をするのは、対米関係での歴史的経験(特に核やパキスタンをめぐる経験)が根底にあるのでしょうが、インドがもっと安心して米国と協力するように仕向けて行くことが、インド・太平洋情勢を安定させるために重要でしょう。

 豪州首相が訪印し、豪印関係がよくなっていますが、日本もインドを民主主義陣営と協調する方向にもっとコミットするように働きかける余地があるでしょう。インドは中国を牽制していく上で大きなカードになり得ます。

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