2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月19日

 中国は、現時点で日中関係を改善する意図は無いように思われます。日中間の話し合いが成果を生む可能性は極めて低いでしょう。しかし、尖閣問題のICJへの付託支持は、日中間の話し合いの問題ではなく、国際社会における日本の道徳的優位を保つことに意義があります。

 尖閣への対処については、米国と話し合い、米国の支持を取り付けておくことが何よりも大事です。領海内への中国船舶の侵入阻止、接近水域での漁船の取り締まり、船着き場の建設、必要に応じて、自衛隊の派遣など、細かい点について、日本はそこまでやるということについて、米国と合意しておく事が望ましく、そこまでの米国の支持が明らかならば、中国としては、最早、戦争を覚悟しない限り、それ以上押しても無益となります。

 米国の同意を得るに際しては、日本が道徳的に優位であることが、米国にとっては望ましいことです。日本がICJ 付託を支持することは、中国がこれを受け入れるか否にかかわらず、米国に日本支持の大義名分を与える一助となります。とくにFTまでがそれを論じているのはチャンスであると言えます。そして、それは、国連総会でも闡明された、国際法的解決と言う日本の基本的立場に沿うものです。

 なお、そもそも日本の領土であることについて問題がないのだから、ICJ付託も受け付けない、という主張は、国際的には通用しない議論です。中国が日本の領有権に対して反対の主張をしている以上、国際的には問題が存在します。

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