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2021年9月14日

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米外交トップのアントニー・ブリンケン国務長官は13日、下院外交委員会の公聴会で証言し、アフガニスタンに混乱をもたらしたと批判されている米軍の撤退について、撤退判断を擁護した。バイデン政権の高官が議会証言するのはタリバンによるアフガン掌握後初めて。

ブリンケン国務長官は、これ以上長くアフガンに留まっても状況は変わらなかっただろうと主張した。

ブリンケン氏は、米軍撤退後もアフガン国内に残されているアメリカ人や協力者の安全について、特に批判を受けている。

野党・共和党は13日、米軍撤退はタリバンにとって屈辱的な損失だと主張した。対する与党・民主党は、そもそもタリバンと撤退合意を結んだのはドナルド・トランプ前大統領(共和党)だったと指摘を重ねた。

20年近くにわたる戦争では、アメリカ人600人以上とアフガニスタン人約10万人が死亡した。駐留費は2兆ドル(約220兆円)以上に上った。

国内や同盟国から批判を受ける中、民主党やバイデン政権は、アフガン撤退の終盤について言及するよりも、アメリカ史上最長の戦争の間に犯した過ちにより、こうした損失が生じたのだと主張を繰り返す作戦に切り替えている。

公聴会では、カブールで「見捨てられた」アフガン人協力者の運命や、タリバン復権によるテロの脅威や人権をめぐる懸念などについて、ブリンケン氏と共和党議員が衝突した。

13日の公聴会で議員たちが投げかけた重要な質問と、ブリンケン氏が米軍撤退をどのように擁護したのか、いくつか紹介する。

バイデン大統領は諜報機関の意見を無視した?

ブリンケン長官は証言の冒頭、ジョー・バイデン大統領の言葉を引用し、「20年間、何千億ドルもの支援や装備、訓練を提供しても足りなかったのに、どうしたら、あと1年、5年、あるいは10年居続ければ何かが違ったはずだと言えるのか」と述べた。

また、米軍や諜報当局者は、アフガニスタンがこれほど早く陥落するとは考えていなかったとも強調した。

しかし、下院外交委員会の野党筆頭委員マイケル・マコール議員は、今回の撤退は「タリバンへの無条件降伏」だとし、バイデン氏が軍事顧問の意見に耳を傾けていれば、このような事態にはならなかっただろうと主張した。

「我々はいま、タリバンの恐怖政治に翻弄(ほんろう)されている」

アフガンに残るアメリカ人は何人?

アフガン国内に一体何人のアメリカ人がいるのかという疑問は残されたままだ。与野党の議員はブリンケン氏に正確な人数を尋ねた。

ブリンケン氏は、「先週の時点で、アフガニスタンに残るアメリカ人で出国を希望しているのは約100人だった」とし、この人数は「その時点でのもの」だと付け加えた。

米政府は先週に60人分の退避便の「席」を提供したが、実際に搭乗したのは30人だけだったと、ブリンケン氏は述べた。

アフガン国内にいる、アメリカに協力した人たちの人数は提示されなかった。

アメリカはタリバンの統治を認める?

アメリカがタリバン率いるアフガン新政権を正式に承認するのかどうかは、大きな論点として残る。

ブリンケン氏は、アフガン北部マザーリシャリーフからのチャーター機の出発許可が下りていないことを認めた上で、「タリバンが何らかの正統性や支援を求めるなら、まず移動の自由を認めることから始めなくては」と述べた。

「(タリバン率いる政権が)事実上のアフガニスタン政府だ。それが事実だ」

アフガニスタンは国際援助に依存していることから、国際社会はタリバンに対して「大きな影響力」を持っていると、ブリンケン氏は付け加えた。

また、タリバンはテロリスト集団がアフガンを拠点にしないよう防ぐと約束しているとした。

「だからといって我々が彼らに頼っているわけではない。我々は脅威を監視するために警戒を続ける」

バイデン氏はなぜトランプ氏とタリバンの合意内容を再交渉しなかった?

「我々は計画ではなく、撤退期限を(前政権から)引き継いだ」と、ブリンケン氏は2020年2月の合意について述べた。

トランプ氏とタリバンの合意では、アメリカとタリバンがお互いに攻撃を停止することになったが、交渉の当事者にアフガン政府は含まれていなかった。この合意によってタリバンが組織を立て直し、8月の急速な政権奪取につながったとの批判の声が上がっている。

下院外交委員会の民主党議員たちは、バイデン氏が大統領に就任した際にはどうしようもない状況になっており、米軍の撤退期限がずれれば部隊がタリバンに攻撃される恐れがあったと主張した。

バイデン氏は4月、トランプ氏が設定した撤退期限を、アメリカのアフガン侵攻につながった米同時多発テロから20年を迎える9月11日に延期した。

「就任早々、バイデン大統領は戦争を終わらせるのか、あるいはエスカレートさせるのか、選択を迫られた」と、ブリンケン氏は主張。

タリバンの側は「期限を過ぎれば攻撃を再開すると、非常に明確に表明していた」のだと、ブリンケン氏は付け加えた。

アメリカはアフガンの女性たちを助けるのか?

議員たちは、アフガンの女性たちがタリバン支配下でどのような状況に置かれるのか懸念していると強調した。

冬が近づく中、苦境に立たされているアフガン人を支援しようと、国際社会は緊急に協力を呼び掛けている。国連会合で各国が合わせて10億ドル(約1100億円)以上の拠出を表明する中、ブリンケン氏は6400万ドル(約70億4500万円)相当の支援を提供すると約束した。

ブリンケン氏はこの資金を、タリバン政府を介さずにNGO団体や現地の支援団体に直接提供すると誓った。

どうやって資金がタリバンに渡らないようにするのか問われると、国連やその他の国際慈善団体と連携し、世界の他の紛争地域で行われてきたように、直接支援を提供するとした。

また、国務省にアフガンの女性や少女を支援する部署を設置する予定だと付け加えた。

タリバンは女性の自由を取り締まりつつある。12日には、国内の大学で男女共学を禁止すると発表した。また、宗教上の厳しい服装規定を制定するとした。

公聴会は14日も上院で開かれる予定で、ブリンケン氏は議員からの質問に引き続き対応することとなる。

(英語記事 Blinken defends chaotic Afghan pull-out

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58554541

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