2022年10月7日(金)

J-POWER(電源開発)

2021年11月20日

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化石燃料を活用するか、再エネ電気分解で生み出すか。地球上にほぼ存在しない水素を大量に、かつCO2フリーに製造するため、あらゆる可能性を追求するJ-POWER。カーボンニュートラルと水素社会実現への挑戦が続く。

「褐炭」から水素を生む
脱CO2時代の先端技術

純度99.999%の水素を生み出す褐炭ガス化・水素製造設備/HySTRA・J-POWER Latrobe Valley提供

 水素エンジン搭載のレースカー、「鈴鹿」に参戦─。9月18・19日のスーパー耐久シリーズ第5戦、予想以上のトヨタ車の善戦に鈴鹿サーキットは沸いた。燃料電池による電気自動車ではなく、水素を燃やして走るエンジン車。その燃料となる水素を、日本企業が豪州で製造して運んだことでも、このレースは話題となった。

 水素の製造・供給にかかわったのは、「豪州褐炭水素実証プロジェクト」に参画するJパワー(電源開発)、川崎重工、岩谷産業などの企業連合で、ともに技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)を構成する。日豪両政府とビクトリア州政府の支援を受け(※)、豪州側のコンソーシアムとも連携しながら、褐炭からの水素の製造・海上輸送・貯蔵、および利活用へと至る一連のスキームと技術の確立を目的に活動している。

※NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)ならびに豪州連邦政府・ビクトリア州政府補助事業

 なぜ、豪州で褐炭なのか。水素製造を担当するJパワーの長瀬弘樹氏(技術開発部)はこう話す。

 「水分を多く含む褐炭は発電や輸送に適さないため、豪州ビクトリア州などに未利用のまま大量に残されています。これに着目して、当社が持つ石炭ガス化の先端技術で褐炭から合成ガスをつくり、そこから水素だけを取り出そうと考えました。さらに、水素を超低温で液化して最小限の体積で輸送する技術も確立すれば、効率よく大量に、低コストで日本に水素を供給する道筋がつけられるのです」

 資源少国の日本にとって、将来の水素社会実現のために、水素を安定供給する多様な道筋を確保することの意義は大きい。豪州側にも、未利用資源の活用で新たな産業と雇用が生まれ、温室効果ガス抑制にも貢献できる利点がある。

 燃やしてもCO2を出さない水素は温暖化対策の切り札といわれるが、地球上に単体ではほぼ存在しないため化学的製造が不可欠で、大量生産とコスト低減の両立が課題。製造過程で生じるCO2を最小限に抑える工夫も必要だ。Jパワーは合成ガスからCO2を分離・回収する技術を実証済みで、さらにそれを地中に埋めるCCS(回収・貯留)技術の早期確立も目指し、これらの課題に対処する。玉村琢之氏(技術開発部水素タスクマネージャー)は次のように言う。

 「CO2フリー水素は自動車などの燃料、また燃料電池や発電、化学製品に使われるなど、さまざまな用途で水素社会に役立てることが可能です。私たちは単なる実験ではなく、あくまでも実現可能な事業化への一歩として、この実証プロジェクトを進めてきました」

 実際、今年1月には水素の製造を始め、2月には純度99.999%の高品位水素の製造に成功。9月にはその水素を使って冒頭で述べた水素エンジンのほか、燃料電池によるドローン飛行などのデモを行い、耳目を引いた。

 

「水素社会」到来に向け
あらゆる可能性に挑戦

水素燃料を補給する水素エンジン自動車(鈴鹿サーキット/スーパー耐久シリーズ第5戦)

 Jパワーの石炭ガス化技術はもともと水素の製造・利用だけを目的とするものではなく、ガスタービンと蒸気タービンの組み合わせによる高効率発電や、各種合成燃料・化学製品の製造を含む、多角的な展開を視野に入れていた。「EAGLE」と命名されたこのプロジェクトがスタートしたのが約20年前。2008年には水素製造の実証試験を開始。そこでの成果をもとに2016年からは中国電力と共同で、CO2分離・回収技術を組み込む「大崎クールジェンプロジェクト」を展開するなど、段階的に技術と知見を高めてきた。

 「近い将来の商用化を見据え、大崎では水素製造や高効率な発電利用の実証が進んでいます。長崎県の松島火力発電所では5年後の運転開始を目指し、水素製造・利用を可能にする石炭ガス化炉を付加する計画が動いていますし、商用化は決して遠い目標ではありません」(長瀬氏)

 「GENESIS」と呼ばれるその構想では、バイオマス燃料やアンモニアとの混焼も視野に入る。

 「特に植物由来のバイオマスは成長段階で大気中のCO2を吸収していますから、これを燃やして生じるCO2を地中に貯留すれば、大気中のCO2の削減、つまりネガティブエミッションにつながります。これは石炭とバイオマスが同じ固体だから容易にできることで、我々の石炭ガス化技術ならではと自負しています」(玉村氏)

 そうした石炭の持つ強みとJパワーの確立された技術を活かし、早期に水素製造・供給・利用に貢献したいと両氏は言う。さらに、70年におよぶ再エネのノウハウも活かし、再エネを使って水を電気分解するなど、CO2フリー水素のあらゆる製造方法と供給ルートを追求していくという。

 その目的は、カーボンニュートラルな社会の実現。エネルギーを不断に提供することを使命とする企業の未来もそこにある。

 

「J-POWER GENESIS Vision」が描く新世代エネルギー転換システム

J-POWER中期経営計画(2021-2023年度)資料をもとに作成 GENESIS=Gasification ENErgy & Sustainable Integrated System ※商標登録出願済み 写真を拡大

J-POWERグループでは、これまでに培った世界最先端の石炭ガス化技術をコアにして、カーボンニュートラル実現に向けて新たな価値を生み出す事業構想「GENESIS Vision」を推進中。石炭やバイオマスなどの固形燃料からCO2フリーの水素や電気をつくると同時に、カーボンリサイクルを通じて化学製品や鉱物など多様なプロダクトの生成も可能にする。また、再エネやアンモニアなども組み合わせ、拡張性の高いエネルギー転換システムの構築を目指す。その一歩として、松島火力発電所で「大崎クールジェン」の実証成果を初めて商用化する「GENESIS松島計画」が始動。ガス化設備を追加して水素発電を可能にし、CO2低減と電力安定供給の追求を進めていく。

 

再生可能エネルギーの知見も活用CO2フリー水素への取り組み加速

水素社会の実現には、多様な水素製造手段の確立が欠かせない。J-POWERは化石燃料とCO2回収・貯留(CCS)技術の組み合わせでつくる「ブルー水素」に加え、再エネ電力を活用して製造する「グリーン水素」の両面からのアプローチを強化していく。取り組みの一つとして、ドイツのグリーン水素検討協議会(AquaVentus)に加入し、グリーン水素製造・輸送・利用に関する知見獲得を目指している。また、CO2フリー水素の技術開発から事業化まで部門横断的に取り組む組織「水素・CCS特命ライン」を社内に設置。水素製造・供給・利用を具体化する活動を国内外で加速させる。